第136話【1st round 8th match②】

ミスリルの剣でマニュマタに切りつけるフィールズ。


「・・・・・・・何だと!?」


まるで傷が付いていない!!


「ミスリル合金製ですからね」

「な、 つ、 つまりミスリルに混ぜ物をした金属だろう!?

だったら純粋なミスリルよりも弱い筈!!

寧ろ斬れない方が可笑しい!!」


強ちそうとも言い切れない。

一般に純金属は弾性限界、 つまり永久変形が生じる応力が小さい。

というのは通常の金属結晶は不完全な部分を含んでおり

その部分の移動による変形が小さな応力でおこりやすいためである。

合金化によって結晶を構成する金属元素と大きさの違う金属元素に置換させたり

結晶のなかに小さな元素を侵入させたりして結晶のひずみを作ることによって

不完全な部分の移動をしにくくして硬さや引張り強度を向上させることができる。


「ミスリル合金はミスリルよりも強い金属なんです!!」

「なんだとぉ!? くっ・・・ならば・・・」


機械から伸びるコードに目をやるフィールズ。

しかしキスもコードを狙われる事を察知しているのかマニュマタを防御に回す。


「・・・・・うおおおおおおおおおおおおお!!

フィールズ・ソード・スティングぅうううううう!!」


フィールズがマニュマタの頭部に突きを繰り出す。

マニュマタには貫通しなかったがそれでも衝撃によって体勢が崩れる。


「フィールズ・ソード・ダンシング!!」


華麗な剣の舞による追撃で遂にマニュマタが倒れる。


「良し、 これで!!」

「甘い!! マニュマタ!! モードチェンジ!!

スパイダーモード!!」


倒れていたマニュマタの手首足首がぐるりと180°回転し

四足歩行でフィールズに飛び掛かった!!


「うわっ!!」


飛び掛かられたフィールズは倒れマニュマタに押しかかられる形になった。

刎ね飛ばそうにもマニュマタの重量は150Kg!! そう簡単に押しのけられる重量ではない!!


「くっ・・・ならば!!」


フィールズは剣を放り投げた!!

投げられた剣はマニュマタを操作している機械の筐体に突き刺さる。


「え、 あ、 あわわわわ・・・」

「如何やら機械の本体まではミスリル合金製ではない様だな・・・」


キスがガチャガチャと操作するもマニュマタは沈黙している。

フィールズは何とか勝利を手にする事が出来たのだった。

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