Re:incarnation

第119話【Winning prize】

「武道大会?　そんなの有ったの?」

テニスのインターバル中に武道大会に参加するか尋ねるロダン。

「そういえば回覧板に書いてありましたね

優勝賞品がまだ決まってない様ですが」

ベルーズがカリエとモルガナに飲み物を持って来る。

「ありがと、　優勝賞品が決まってない?　何よそれ?」

「そうなんですよ」

突如沸いて出て来るゾラ。

「何処から来たんですか」

「玄関からです」

「目を切らすんじゃなかった・・・それでゾラさん優勝賞品が決まって無いのに

武道大会をやるって如何言う事です?」

「実は最近武道大会がマンネリ化してまして」

「マンネリ化?」

「えぇ、　最近同じ人ばっかり優勝して見ていて面白くない

これ以上同じ事が続くようならば次の武道大会は無いと」

「そうなんですか?」

「一応イベントですし、　街の収益拡大を狙っています」

「ふーん・・・それでそれと優勝賞品が決まっていないって言うのが

何か関係しているんですか?」

「えぇ、　折角ですし、　我が町の期待の新星の貴方が欲しい物を景品にしますか?」

「それって暗に僕に出場しろって言っている?」

ジト目でゾラを見るロダン。

「嫌ですか?」

「嫌ですよ、　僕はあんまり人を傷つけたく無いんですよ」

「当日は怪我人が続出するから治療したい放題にする申請を出しますか?」

「う・・・心動くけどもなぁ・・・」

困るロダン。

「でもこれはチャンスだろうがロダン」

モルガナが口を挟む。

「何で?」

「お前の治癒魔法は凄いけども、　お前の魔法には媒体が無い」

「媒介?」

「杖とかだよ、　魔法効率が良い杖で魔法を放ったら如何なる?」

「より強くなる?」

「その通り、　魔法の杖を作るのは悪い事じゃないと私は思うね

何かしらの強力な媒介の素材になる物を賞品にしたら如何だろうか」

「なるほど、　市役所に行って来ます」

「え、　ちょっと僕はまだ出ると・・・」

ゾラはそそくさと立ち去った。

「あぁ、　行っちゃった・・・」

「まぁまぁ良いじゃないロダン

朝から散歩に出る位、　暇だったんでしょ?」

「うーん、　確かに暇だったけども・・・」

何か釈然としないロダンだった。

その時、　玄関のドアベルが鳴った。

「誰か来たみたいですね、　私出て来ます」

「またゾラさんかなぁ・・・」

ベルーズが玄関に向かった。