第108話【Dyspnea】

「デュラハンか、 ならこれだ」


マッドサイエンティストのドクがフラスコをデュラハンに投げた。

するとフラスコは割れて中身が飛び散った。


「坊や、 逃げた方が良いよ」


ロダンは慌てて下がった。


「ファイアボール」


ドクの火球の魔法。

すると勢い良くデュラハンは燃え上がった。


「何とかなったか、 大丈夫かい?」

「え、 えぇ何とか・・・貴方は」


ロダンはシエンに尋ねた。


「小生はオーギュスト王国の勇者シエン」


端正だが厳正な顔つきで言うシエン。


「マッドサイエンティストのドクでぇーす」


瓶底眼鏡と三つ編みで台無しになっている美人のドクがヘラヘラと自己紹介をする。


「黒騎士のポリスだ」


金髪の黒い鎧を着た女騎士のポリスが自己紹介をする。


「・・・・・」

「こっちの無口なのがシス、 ダークプリーストだ」


黒いスリットが入った修道服を着た大きな杖を持ったシスが黙って建物を見る。


「オーギュスト王国の勇者が何故ここに?」

「この街の薬物汚染が深刻なのにジェスターの勇者が動かないので来ました

おっと、 我々が来ている事は秘密にして下さい、 誰か来ましたね、 それでは失礼」


しゅん!! と一瞬に消え去ったシエンパーティ。


「消えた!?」

「いや、 ジャンプして行ったんだ、 何という身体能力だ・・・

前衛職でもない奴もこの程度の事は出来るとは・・・」

「おーい!!」


花子と冒険者達がロダン達の所にやって来た。


「うお!? デュラハンか!?」

「そうみたいだね」

「これはお前達が?」

「いや、 これはもがもが」


話そうとするロダンの口を押えるモルガナ。


「秘密の人がやって来て助けてくれた」


モルガナが答える。


「もがーもがもが」

「秘密なんだから秘密にしなきゃ駄目だろ」

「まぁ、 何でもイイや、 しかしここから出て来たという事か?」


小奇麗な建物を見る冒険者達。


「ここは何なんだ?」

「もがー」

「ここはマドルドが炊き出しの為の物品を置く倉庫みたいな場所だ」

「もがー」

「マドルドの倉庫・・・中に入ってみるか」

「もがもがもがー」

「ちょっとロダン五月蠅いよ」


モルガナが注意する。


「モルガナ、 何かロダンの顔色が悪くなって来ているよ

息出来てないんじゃない?」

「なっ」


慌てて口から手を放すモルガナ。


「はぁー・・・はぁー・・・殺す気か!!」

「す、 すまない・・・」

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