第96話【Limbs】

フギットは涙を流していた。


「フギット? 如何したの? 何処か痛むの?」

「貴女・・・人類を裏切ったのか!!」


カリエが激昂する。


「誰だお前!!」


アモールは腕を伸ばしてカリエの首を掴む。


「がッ・・・」

「カリエさん!! くっ!!」


花子は短剣でアモールの伸ばした腕を突き刺す。

アモールはカリエを話した。


「あーあ、 腕が怪我しちゃった」


ぽん、 と外れる腕。

そして外れた腕の袖口から大量に腕が生えて来た。


「なっ・・・」

「一本位あげるわよ、 誰だか知らないけど、 死ね」

「アモール」


フギットが口を開いた。


「なぁにフギット」

「遅くなってごめん」

「?」

「俺がもっと早く人間の手足に近い魔導義肢を作っていれば

お前は魔王に魂を売らずに済んだのに・・・」

「いいよ、 別に、 こうして五体満足になれたんだから

何も問題はない、 そうでしょ?」

「・・・・・本当にすまない」


フギットは腕をアモールに向ける、 そして手首がズレる。

先程デュラハンに使った炎魔石発射装置だ。

次々とアモールに炎魔石を発射する。

しかしアモールは複数の腕で巧みに魔石をキャッチする。

そして腕が燃え上がり腕を外す。


「うわ!? な、 何するのよフギット!! 危ないじゃない!!」

「お前はここで殺す」

「な、 何を言っているの!?」

「本当にすまない・・・」


ぽろぽろと涙を零すフギット。


「・・・・・急に攻撃して来たち泣いたり、 一体如何したのよ」

「当たり前じゃない!!」


カリエが叫ぶ。


「自分の友達が魔王の手先になっているのよ!?

泣きたくもなるよ!!」

「魔王様の配下になって何が悪いの? 魔王様は私に新しい手足をくれたのよ?

良い人じゃない、 あ、 別にフギットが魔導義肢を作ってくれるのが

遅い事を野次っているんじゃないよ、 ホントだよ?」

「俺を気遣ってくれるなら、 俺が魔王の手下になったお前を

アンデッドになったお前を見て何とも思わないと思ったのか?」

「うーん・・・ごめんなさい、 手足が戻るなら何でもいいって思ったの

アンタだって手足が有った方が良いじゃない? そうでしょ?」


首をこてんと傾げて尋ねるアモール。


「・・・・・お前はここで殺す、 だが俺も一緒に逝ってやるだから」

「それは駄目だよ!! アンタは生きて居なきゃダメ!!

私もアンデッドだけど生き続けるから!!」

「俺が殺すって言ってるだろうが!!」

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