第58話【Good doctor】

翌朝、 朝食を摂る為に食卓に出るロダンと花子、 カリエ。

朝食は普通のモーニングだった。


「パンを下さい」

「お父様が炭水化物抜きダイエットをしているからない」

「余りに酷だ・・・残酷だ」

「分からなくもないわ、 私も最近は外で食べる事が多いし・・・」


そう言っていると何通かの封筒を持ってやってくる男爵。


「やぁロダン君、 昨日の記憶喪失の医者宛てに紹介状を書いたよ

支払いは私に回す様にして貰ったからね」

「ありがとうございます」

「それからこれは国境を超える為の手続きの封筒だ」

「待って下さい」


制止する花子。


「国境を超える? 国境を超えるのですか?」

「あぁ、 とても良い腕の医者がジェスター教国に居るんだ」

「ジェスター教国ですか・・・神を信奉している・・・」

「そうだな、 良い腕の奴なんだ、 カリエも昔世話になった」

「そうなんですか・・・」

「・・・お父様、 ジェスター教国は遠く有りませんか?」

「ふむ・・・そうだな、 では馬を出そう」

「馬に乗った事無いです」

「私も」

「ふむ、 では仕方ない、 カリエ、 アダム先生の病院の場所は分かるな」

「えぇ、 勿論」

「ではお前が付いて行ってあげなさい」

「えぇ!? 態々御息女に御手を煩わせる事は」


花子にウィンクするカリエ。

カリエは閃いた、 これはロダンときゃっきゃうふふしたいと言う事だと。


「・・・まぁ良いかもしれませんね」

「それからカリエの御付きのベルーズも付けよう」

「ありがとうございます」

「それじゃあ何時からアダム先生の所に行きますか?」

「それじゃあ食べたら行きましょう」


ロダンが即答する。


「もう行くのかね、 正直娘の命を助けてくれたのだから

もっと何かしてあげたいのだが・・・」

「いえ、 勝手に助けたのだから良いです」

「謙虚な奴だなぁ・・・それでは何か有ったら私を頼ってくれ

出来る限り力になろうじゃないか」

「ありがとうございます」


ロダンは頭を下げた。


そして昼頃にジェスター教国の医者の所に向かう事になったのだった。


「四人旅ですねお嬢様」

「そうね」

「いや、 デッドを含めて五人だよ」

「はい?」

「デッド?」

「あ、 ロダンにだけ見える友人だそうで」


花子がカリエとベルーズに説明する。


「あ、 ロダン、 ちょっと俺は出かけるから、 暫くさよならだ」

「そうなのデッド、 じゃあね」

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