Chapter3:Forest fever

第48話【Hunting like】

最近流行っている都市伝説が有る。

冒険者が怪我をすると物凄い勢いでヒーラーがやって来て傷を治療すると言う物である。


奇特な人、 と思われるかもしれないがヒーラーの治療スキルは並大抵では無く。

死の一歩手前の人間にも治療を施す程の圧倒的治癒能力を持っているらしい。

更に異様な点としてヒーラー自身も大怪我を負っていると言う事である。

ダッシュで怪我人の所に来る為、 怪我を負うとの事だが

何よりも怪我人を親の仇の様に思っているのか

『兎に角怪我を治させろ』の一点張りで問答無用で治療しに来るのだ。


「と、 こんな噂がこの近辺に流れているのだよ」


自慢げにオーギュスト王国、 男爵家の跡取り娘のカリエが馬に乗りながら従者達に自慢げに話す。


「突然借りに行こうと言うから何かと思えば・・・」

「人狩りですか」

「人探しと行って欲しいわね」


侍女のベルーズが溜息を吐く。


「まぁお嬢様の気紛れは今に始まった事じゃないですから気にしませんが・・・」

「唯の気紛れじゃあない」


ちっち、 と指を振るカリエ。


「我が男爵領ではこれといった産業が無い、 有名人も居ないし」

「確かにそうですが・・・お嬢様が良い所に嫁げば良いだけでは?」

「自分で言うのもなんだが私には女らしさが無い、 だから良い所には嫁げないだろう」

「はぁ・・・」

「だから人材の囲い込みはしておきたい所なのよ」

「なるほど・・・考えているんですね?」

「何時までもお転婆娘じゃいられないからね~」


そう言ってケラケラ笑うカリエ。


「でもここの周囲にその噂のヒーラーが居たとして

どうやって見つけるつもりですか?」

「探すしかないでしょ、 こんなに人数居るんだし見つけられるでしょ」

「無策ですか・・・やれやれ・・・」


ベルーズが溜息を吐く。


「まぁ見つけるのは兎も角、 如何やって取り込むおつもりで?」

「無論金で」

「金ぇ?」

「・・・貴方と私でセクシーな事でも良いけど?」

「嫁入り前の娘がそんな事を言うんじゃありません」

「まぁ冗談はさておいて」


ガサガサ、 と茂みから音がする。


「ん?」

「うああああああ・・・」


茂みから出て来たのはゾンビ!! 魔王の最下級の僕だ!!

カリエは弓を構えてゾンビの首を刎ねた!!

カリエのスキル【弓使い】で弓の威力は通常のそれとは訳が違うのだ!!


「ゾンビが居る、 と言う事は・・・」

「不味いですね、 逃げましょうお嬢様」

「う、 うん」

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