幕間【吹っ飛ぶでぶ】

オーギュスト王国、 王都アウグストゥス。

クラン【イレギュラーズ】系列店【イレギュラーズ魔導店】が襲撃された。


「これでウチの系列が襲われたのは5軒目ですね」


モノクルを付けた隻眼、 隻腕の傷だらけの美女、 ナリキンがバンメンに語る。

バンメンは壊された店内を悲し気に見る。


「いやぁ、 これは酷いモンですな」


太った男が壊された店内に入って来る。


「誰だ?」

「あぁ、 失礼私はギルドの調査員のポルパンダと言います」

「帰りな」

「は?」


バンメンの言葉にポルパンダが目を丸くする。


「アンタ等ギルドには捜査権は無い、 捜査に加わりたければ令状を持ってこい」

「いやいや、 王国の守護者として見過ごせませんよ」

「王国の守護者? 王国には、 と言うか王都には王都守護隊が存在する

アンタ等は王国の何でもない」

「いやいや、 王都の門の護衛をしているじゃないですか」

「出来てねぇだろ、 この惨状を見て『我々は王都に入って来る厄災から

王都を守っています』って良く言えるな」

「手厳しいですね」


手を広げるポルパンダ。


「ギルドとは仲良くして損は無いですよ?」

「帰れ」

「クランの長ならばギルドと仲を悪くするのは良くないと思いますよ」

「帰れ」

「そんな意固地にならずに」


ポルパンダが構わず店内に足を踏み入れた。

すると突然体が動かなくなった。


「ぐっ、 な、 なんですかコレは・・・」

「失せろ」


バンメンがポルパンダを殴って店の外に吹き飛ばした。


「・・・良いんですか?」


ナリキンがバンメンに尋ねる。


「何がだ?」

「ギルドの構成員を殴っちゃって」

「良いんだよ、 こちらの警告を再三無視したんだ

それにギルドにはもっと喧嘩を売るつもりだ

人一人殴った所で如何と言う事は無い、 それにお前も気持ちよかっただろ?」

「そうですね」

「こっちの捜査も重要だが花子とロダンって言う二人組の捜査の方も続けろよ

ギルドが殺し屋を送っている可能性も有る」

「あり得るな、 あの年寄りの小娘ならやりかねないし

タソガレ辺りが勝手にやるかもしれない」

「だな、 ギルドが好き勝手出来る時代はもう終わらせなければならない」

「はい、 私も、 クランの皆も協力します」

「悪いな」

「構いませんよ、 話は変わりますがこの店の状況から考えるに・・・」


店の検分を再開するバンメンとナリキンだった。

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