しかしこのお嬢様、結局むっつりなだけである。
田島春
「まずはボディチェックからです」
「えっと……そのですね」
「どうかしまして?」
「どう呼べば……お呼びすればかと、思いまして」
「そうですね……皆のように、お嬢様でよろしくてよ」
「わか……かしこまりました」
「それでは、ボディチェックを行うので脱いで下さい」
「脱……?! ここでですか!?」
「私の指示を聞くように、と言いつけられていますよね? それと場所についてですがここで、です。時間についても指定しましょう、今すぐです」
「さっき……先程ボディチェックは……受けたのですが」
「もう一度だけ言います。私の、指示に、従う。おわかりですか?」
「……はい」
「よろしい、理由について知りたいようですので脱いでいる間にお教えしましょう」
「……お願い、します」
「貴方が先程受けたボディチェック、その品質は信用に値します」
「……服は、その……」
「新しいのを上げますのでその辺にでも。さて、そもそもの話ですが貴方は誰の物なのかお分かりでして?」
「はい……お嬢様の、物です」
「その通り、私の物です。私の物は私自身がチェック"したく"なります、例えば商品等の製造過程で行われるチェック、これは熟練の者によって行われます。しかしそれはそれとして、手元に届いた物をじっくりと確認したくなるのが人の性、そういうものでしょう?」
「それは、分かります」
「えぇ、理解が早くて助かるわ。でも脱ぐのが遅いのはいけないことね」
「すいません……!」
「まぁいいわ、他に質問がありまして?」
「ありません……今の所は」
「素直でよろしい……それでは、背中側から検分をします」
「うぅ……」
「姿勢が悪いですわね、不良品なのかしら?」
「……っ!」
「そう、気をつけの姿勢を保つのは大事です。貴方には様々な役割をこなしてもらいたいですから」
「役割……?」
「おや?聞いておりませんか?」
「はい。物扱い……とだけ」
「では簡潔に述べましょう」
「お願いします」
「貴方は私の忠実な従僕、誠実な遊び相手、そして愛しいペットです」
「…………」
「安心して下さい、痛めつけたりはしません。私の趣味では無いので」
「……分かりました」
「不安は……失礼ながら、ちょっと分かりかねますわね。ですが悪いようにはいたしません、なにせ高い買い物ですから」
「…………」
「暗い顔はあまり、好きでは無いわ」
「すいません」
「昨日の今日の話ですから、大目に見ましょう……背がまた曲がっていてよ」
「……はい」
「ふむ……健康状態は良いようですね、身長や体重も平均程度。血色も良いですわね、体格は若干不足がありますが許容範囲です」
「……」
「さて正面を……どうして股間に手を?」
「いえその、不快かと思いまして」
「それは私が決める事です、手をどけなさい」
「はい……」
「ふむ…………これが……」
「その、あまり見られると……」
「何か問題でも? 見る時間も見方も、私が決める事です」
「うぅ……」
「やましい事を隠していては処遇に検討が必要となりますよ」
「隠しては……おりません」
「よろしい、では持ち上げてください」
「持ち……!? っ……分かりました」
「ほうほう……このように……」
「うっ……うぅ……」
「ふむ、よろしいようですね。次は足を開いて寝てください」
「そ、それはその……ご勘弁を」
「いいえ、聞きません。ですが今の姿を外に居る者たちに対して、改めて晒したいというのであれば別です。ただその呼び方は……私の一存で決まるのですよ?」
「……わか、りました」
「よろしい」
「それではこれからも、よろしくお願いしますね」
「……はい」
「ふふ……明日から楽しみですわ」
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