第9話 お困りですか?(後編)

 サトリ:お好み焼き屋さんを助けるために鰹節工場のある島へ向かったもぐもぐガールズ。島の周囲は大変な事になっていました。果たして杏ちゃん達は無事に辿り着けるのでしょうか。


 魔界時間5:00 コナモン首長国連邦母星ダシジル港


 ちびっ子達:オリビア先生、おはようございます!


 オリビア:はい、おはよう♪


 サトリ:あのアマ、杏ちゃん達と馴れ馴れしくしやがって・・・はっ!失礼しました、この方は巨獣専門医のオリビア・火乃酉ひのとりさん。ダークエルフ族です。


 オリビア:なんか悪寒が。


 ミシェル:わざわざ遠くから有難うっス。


 オリビア:いいのよ、私も少し気になった事があったから。


 船長:お〜い、そろそろ出港するぞ〜!


『1時間後 北西部カツブシ島周辺海域』


 島を囲む様に背鰭せびれが渦巻く


 シャルロット:な、なんですのアレ⁉︎


 オリビア:やっぱりかぁ、この季節ではだわ。


 ミシェル:この季節ではあり得ない光景?  


 オリビア:岩流鰹がんりゅうがつおの群れはメスよりオスが多いの。産卵の時期になるとああして外敵からお腹に赤ちゃんがいる雌を守るために回遊しながら警戒しててね。鱗は鋼鉄の様に硬く雌を狙う外敵がいたらそれに向かって特攻かける事から別名、魚雷鰹ぎょらいがつおとも呼ばれてるわ。  


 シャルロット:もしかして、本来この時期は産卵期ではないという事ですの?


 オリビア:ええ、岩流鰹の産卵期は天敵であるプレスドンという海龍種が活動しなくなる水温の低くなる冬なの。


 ミシェル:あの背鰭は?


 オリビア:あの背鰭には半径100km園内の侵入者を感知出来るレーダー探知機の役割をしているの。 

 

 シャルロット:という事はあの背鰭の圏内に入ったらこの船に特攻を仕掛けてくるって事ですの⁉︎


 オリビア:そう。とにかくこれは異常現象、海底に何か原因があるのかも。


 ミシェル:この現状を見て対策はあるっスか?最初はポセイドン様に海を割って進もうと思ったんスけど。


 オリビア:そうね、海を割るのは良くないけど、ポセイドン様を連れてくるのは良い案だわ♪そこで小雪ちゃんにお願いがあるんだけど。


 小雪:オラに?


 オリビア:小雪ちゃんにはポセイドン様と一緒に海に潜ってどうして冬でもないのに海をグルグルしてるか聞いてきてほしいの。


 小雪:先生のお使いならオッケーだべ♪


 ローザを召喚する小雪


 ローザ:ハ〜イ、貴女の愛弟子ローザで〜す♡


 小雪:オラな、海の中のお魚さんとお話したい。海の中潜りたいからお手伝いしてくんろ。


 ローザ:お安いご用でっす☆


 小雪を抱き上げ神聖結界を張るローザ


 小雪:行ってくんべ〜♪


 海に潜る2人


 オリビア:それとミオちゃん。  


 ミオ:う?ミオでにゃんすか?


 オリビア:そう、詩織さんに頼んであの島に行って助けに来たよ〜って言ってきてほしいの。


 詩織:閣下に使いっ走りとは何事だ!


 オリビア:これはヴァルキリーの中で飛行能力の優れている貴女にしか出来ない事よ。それとも、自分のご主人様を速く安全に運ぶ事も出来ないのかしら?


 詩織:なっ⁉︎そんなの余裕に決まってる!


 オリビア:じゃあ、お願いね♪


 詩織:グッ!


 ミオを抱き上げシールドを張って飛ぶ詩織


 ミオ:レッツゴーでにゃんすぅ♪


『カツブシ島周辺海域海底』


 小雪:んお?デッケェ魚さんが横になって寝てんべ。


 ローザ:あれがこの星の巨獣、巨岩鰹きょがんがつおですね師匠。


 オリビアと通話する小雪


 オリビア:横になって寝てる?変ね、巨岩鰹とその眷属の岩流鰹は警戒心が強い個体だから横になって寝るなんて事しない筈なんだけど。小雪ちゃん、岩流鰹の雌のお腹はどうなってる?雌は雄に守られる様にして島の真下に集まってジッとしてる筈なんだけど。


 島の周囲を見上げる小雪


 小雪:んお?な〜んも居らんよ?


 オリビア:雌が島の周囲に1匹も居ない⁉︎産卵期でもないのに警戒回遊してるって事はもしかしたら巨岩鰹に何かあったのかも。


 小雪:デッケェ魚さんなんかお口パクパクさせて苦しそうだべ。


 ローザ:ん〜?師匠、アイツのえらのトコ何か刺さってません?


 ローザの指した方を見る小雪


 小雪:ん〜?・・・あっ、ホントだべ!


 オリビア:そうか、鰓に異物が刺さって呼吸困難になってるんだわ!


 小雪:よ〜し、オラがお助けするべ!先生、杏ちゃんこっちに呼んでけろ!


 オリビア:分かったわ。


 ローザの神聖結界内に杏を転送する


 鰓の異物を抜き杏の回復魔法で治す


 巨岩鰹:お〜っ!痛くないし息が出来る♪


 小雪:お魚さん、島の人が困ってるべ。  


 巨岩鰹:おっと、それはイカンな。


 大口開けて群に合図をすると警戒回遊を解き群れは巣穴へ戻る


 巨岩鰹:迷惑かけたな、これでもう安心だ♪


 小雪:ありがとだべ♡


 巨岩鰹:いやいや、礼を言うのはこっちだ。


 杏と小雪に鱗を渡す巨岩鰹


 巨岩鰹:これは友好と礼の証だ♪


 杏:綺麗です♡


 小雪:ありがとな♪


『カツブシ島内』


 島民:おおっ!海が穏やかになったぞ!


 ミオ:一件落着でにゃんすぅ♪


 暫くして全員島に上陸する


 工場長:この度は誠に有難うございました!何かお礼がしたいのですが。


 杏:鰹節くださいな♪


 工場長:おおっ!それなら少々お待ちください。


 工場へ向かい戻ってくる


 工場長:こちらは100年に1度行われる身削みそぎの儀でしか手に入らない希少な巨岩鰹の切り身で作った滅多に市場に出ない鰹節でございます。こちらをお持ち下さい♪


 杏:オリビア:ありがとです♪


 ミシェル:さ、帰るっスよ〜♪


 ちびっ子達:ハ〜イ!












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