涼風の歌

妄想癖

プロローグ

父が死んだ。父は警察官だった。

 猫の捜索中に階段から足を踏み外して死んじまうなんて馬鹿なオヤジだな。

 何の孝行も出来ないうちに死んじまった。あれすれば良かった、こうしてやれば良かったと後悔の念が次々と出てくる。そんなことが嘆いてるうちにさっさと告別式、葬式、火葬と済んでしまって

いた。

嗚呼、どうすれば良いってんだ父さん。


嘆いても仕方ないそんなことは分かっている

それでも、彼が父親だと言う事実は決して消えない。

「はぁ...っ?」

ため息つく暇なく、家のチャイムが鳴った。玄関から戸を開け様子を見に出てみると、郵便員が立っていた。郵便員は、封筒を渡すと颯爽とバイクで去って行った。

「俺宛みたいだな、差出人は...!?」

父だった。死んだはずの父から郵便物が届いたのだ。

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