思わせぶりな古谷さんに僕は惚れない 〜小悪魔女子を適当にあしらってたら惚れられてたんだが〜
少年ユウシャ
第1話 万年に一人の美少女
――彼女に目をつけられたきっかけは、本当に何気ないことだった。
簡単に言うと、同じクラスのカースト最上位の陽キャ女子である。
いや、それはさすがに簡単に言いすぎたか。
彼女はただの陽キャ女子ではない。
学校においてはカースト最上位グループの一員でありながら最底辺カーストの日陰者にも分けへだてなく笑顔で接するという天使のような陽キャ女子であるのは間違いないのだが、その陽キャぶりは学校内にとどまらないのだ。
なにしろ彼女は一年前にクラスメイトが盗撮してアップしたTikTakがバズりにバズってネットで“万年に一人の美少女”と評されたことをきっかけに、いまとなっては各SNSでフォロワーが軽く十万超えでモデルとしても活動する芸能人。
通称“くるみん”なんて呼ばれてそのへんのアイドルの何倍も知名度があり、学校どころか日本のカースト最上位に君臨するような美少女なのだから。
そんな古谷来未を、ゲームぐらいしか取り柄のない陰キャぼっちな自分――緑川斗真が家に連れこんだり二人で遊びに行ったりすることになるとは、周囲の誰も予想していなかったに違いない。
きっかけになったのは、あの日。
たしかそう、ちょうど10月の中間テストが終わったときのことだった。
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