冥婚

第104話 霊的相談

 霊能者協会から突然のメールが届いたのは、JR八王子駅の駅ビルセレオで、ホワイトデーのお返しを物色していたときの事。


『緊急で霊的相談の依頼があるのだけど、受けられるかしら? 時間は午後一時、場所は、今君がいる八王子セレオのスタバだけど』


 なぜ、僕の居場所が扶養ふようさんに分かるんだ?


「どうしたの? やしろ君」


 両手いっぱいに紙袋を持った渡辺君が、怪訝な顔をしていた。

 

 渡辺君の買ったお返し、僕の十倍はありそうだな。


 渡辺君は顔も良いし、性格もいいし、なにより背が高い……うらやましい……から女子にもてるのだろうね。


 一応、僕もバレンタインデーにチョコはもらったけど、すべて義理チョコか友チョコ。くれたのはしきみとミクちゃん。それに数人のクラスメートと超常現象研究会の先輩たち、そして氷室ひむろ先生。


 あ! 一つだけ本気マジチョコがあった。


 ネズ子が持ってきたヒョーからのチョコ。


 これだけは受け取りたくなかったけど、受け取らないと呪われそうだし……お返しもしないとヤバいかな?


 しかし、二度と僕の前には現れないと言っていたのに……


 僕は渡辺君の方を向いた、


「バイト先からメールだよ。今から仕事できないかと」

「大変だね」


 受けたくないけど、今日の買い物でかなり出費がかさんだ。受けないと今月ヤバいかな。


「渡辺君。悪いけど、僕は先に帰るよ」


 そして僕は、スタバに向かった。

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