予言の花
リマリア
序 -未来を識る者-
西暦2034年4月
「この無人島で起きる怪奇現象を解決する為、国際連盟は周辺各国の協力の元、大規模な調査隊を派遣する事を決定しました。調査の指揮はハワード・ウェイクフィールド氏が執る事が決まっており…」
とある建物の一室。明かりを消した部屋の中でメディアが流すニュースの音声を聞きながら少女は一人、満足そうな笑みを浮かべている。ウェーブがかかった金色のミディアムヘアに赤色の瞳。華奢な体格で、まるでドールのような美しさと愛らしさをもつ少女がこの部屋の主である。
この調査は確実に失敗する。
その結末までも少女は既に知っている。
あの島にいる “彼女” にとって人間が積み上げてきた科学の叡智など何の意味も無い。どれだけ大規模な調査隊を派遣しようと、どれだけ高性能な最新鋭機材を投入しようと謎が解明される事など有り得ない。返り討ちにされるだけだ。
“彼女” に必要なものはこの世界にただ一つ。これは彼女が求めるものを確実に贈り届ける前に必要な尊い犠牲と言っていい。
「微睡みに沈みゆく者にとって、刻の流れは永久に等しく同じである。しかし、長きに渡る夢はもうすぐ終わる。君も、彼も、私も、止まったままの時計の針を動かす時が来たんだ。そうだろう?私の親友。私の盟友。〇〇〇〇。」
そう言って微笑む彼女の赤い瞳は、底の見えない奈落のような暗さで満ちていた。
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