クラフィティオナ物語
あるてみす☆しゃえる
【地球編】序章
東京都東猫城市は、副都心の北側に位置し、標高750メートルを望む東猫城岳の麓にある、一見、何の変哲もない町であった。この町は、アキバに近いという他に、奇妙な噂が周囲の町に広がっている。いわく、神隠しが頻繁に起きている。いわく、この町に拠点を置いている小説家の描く世界は、現実に存在している。或いは、超能力者や人でない存在が、人として暮らしているなどなど、オカルト愛好家の中では、まさに旬のパワースポットとでも呼べる町が、この東猫城市であった。
そうそう、あたしの名は、飛鳥しおり。市立としては珍しい、保育所から大学までのエレベーター式となっている、東猫城学園中等部の一年生だ。
今日は、あたしが愛読している、超人気ラノベ【イオが築いた世界】シリーズの作者である、エリスのサイン会があるということで、人混みをかき分け、副都心の書店に行くところなのだが…。
「 すみませぇん!」
と、あたしに声を掛けてきた少女がいた。人混みの中で、きょろきょろと何かを探しながら佇んでいた、その少女は、あたしと視線が合うと、一目散に、あたしに向かって歩いてきたのだった。
「 な…、なんでしょう?」
若干、引きながら、あたしは、ショートの右分けにした髪に、利発そうな瞳を輝かせ、あたしに顔を近づけてくる彼女に、尋ねると、彼女は、
「 あの。伊野国屋書店は、どこでしょう?」
と、今まさに行こうとしていた書店の名前を告げてきた。
「 あっ…。ちょうど、今から行くところだったので、案内しますよ。」
そう案内を引き受けると、少女は嬉しそうにし、一緒に目的地に行くことになったのでした。そして、これが、あたしとエリスとの出会いで、この町に伝わる都市伝説の実体験の始まりになるとは、このときのあたしには、思いも寄らなかったのです。
【つづく】
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