第2話友達たち
俺には空虚さしか残っていなかった。
まるで心にぽっかり穴が空いてしまったような感じで学校生活を送っていた。
そして俺はそのまま高校を受験し、受かった。
少し家からは遠い高校だか瑞希が亡くなってからというもの周りは俺を腫れ物に触れるような感じだったのでむしろ遠くの高校に来たのは都合が良かった。
そして俺は何事もなく高校ライフを楽しんでいた。
「なあ、颯。なんでお前ってやつはそんなにモテるんだ!?確かに顔がいいのは認めるがちょいと度がすぎるぞ!モデルまでやっててただでさえ有名人と関係を持てるっていうのに学校の女子にまでモテるとか正気か正気なのか!?」
「まあそういうなって、璃久だって別に顔が悪いわけじゃないし」
「いや、颯が言うとただの嫌味にしか聞こえないわ」
こいつは古暮璃久。中学からの唯一の友達にして親友だ。
「でも、お前ってモテるけど彼女作らないよな〜って言うか女子との間に壁作るよな......ってすまん野暮だったな」
「いいや、気にしなくていいよ」
璃久だけは俺の事情を知っているからよく気を遣ってくれる。
正直申し訳ないがこいつの優しさについ甘えたくなってしまう。
だけど甘えてばっかりでもダメだとは思っていた。
「そろそろ乗り越えないといけないよな......」
「まあ、そんなに焦ることはないんじゃねーか」
「お前に甘やかされてばっかじゃ俺がダメになっちまう。」
そう言って笑ってみせると璃久も笑って返してくれた。
放課後になると同じクラスの相馬真理愛が話しかけてきた。
「颯くん、颯くん実は今日バレー部が休みなの!よければ一緒に帰らない?」
いいきっかけになるし結構仲は良かったので一緒に帰ってみようかと思い璃久に断りを入れようとすると、既にOKサインを作っている璃久がいた。
相馬さんに了承の意を示して、一緒に教室を出る。
「颯くんって古暮さんと仲良いよね?どうしてなの?」
「まあ、中学からの縁ってのもあるけどいろいろ相談とか乗ってくれたりするし、しかもあいつめっちゃ優しいし」
「それを同性の男の子が言うのね......」
「なんであいつに彼女が出来ないのか分からないくらいだよ」
真理愛は颯が隣にいるからではという言葉を飲み込んだ。
「でも、颯くんだって彼女いないでしょ」
「まあ、そうだけど」
正直踏み込まれたくないラインだったから渋々みたいな感じで返してしまった。
「まあ、私もいないけどね」
何かを感じ取った風に話をずらしてくれた。
ほんとにそろそろ割り切らないといけないな。
その後真理愛とはしばらく無言になってしまって、少し居心地が悪く、そのまま駅に着いてしまった。
「駅は、逆方向だったね。じゃあ颯くんまた来週学校でね 」
「じゃあね、相馬さん。気をつけて帰ってね」
別れると真理愛のスマホにメッセージの通知が届いた。
画面には『古暮璃久』と表示されていた。
一方で颯はちょっとした罪悪感に浸っていた。
璃久についてあまりに長く話しすぎてしまったことと、時々瑞希の顔が脳裏に浮かんでしまっていたことだ。
女子と話すとつい浮かんできてしまうあの顔。忘れられない。
女々しいんだと思う人もいるかもしれないが俺の中ではそうきっぱり割り切れるものではなかった。
明日の仕事が少し憂鬱になってしまった。
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