溜め息と憂鬱

金鶏菊 

憂鬱な日

憂鬱だ……

今の男の気持ちを表すとこうなるだろうか。居酒屋のカウンターで項垂れながら男は酒を煽る、ジョッキの中が空になるとドンッとジョッキを勢い良く叩きつけた。その勢いのまま近くにいた店員にジョッキのおかわりを頼むと隣に座っている同僚に話しかけた。


「おい、俺はどこで間違えたんだ。」

「間違えたも何もお前が口出した時点で間違いだったんじゃね。」


つまみを食べながら同僚は呆れたようにかぶりをふる。そう言われるとそう思えてきた。しかし、男としては困っている上司を助けようとしだけであった。


「まぁあれは気の毒だけどな」


気の毒といえばそうなのかもしれない。助けようとしたら、書類を押し付けられた上に責任はあなたにあるなどなんやかんや言われ残業までしているのだから

同僚は男を気遣うように肩に手を置いた。


「まあこんなときもあるさ。」

「二度とこんな目に会いたくないわ」


男は諦めたように肩を落としまたジョッキを少し上に傾ける。

二つの大きなため息がやけに人の少ない居酒屋で大きく響いていた。

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溜め息と憂鬱 金鶏菊  @herui

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