第48話 1分で手懐ける
マリーとジークが互い顔を合わせる。
片方は目を吊り上あげ、片方申し訳なさそうに視線を泳がせる。
話を聞くとどうやら、彼らには面識があるらしいと知った。
厄介なことにキラキラ光るモノが好きだったジークは、美しすぎて、可愛すぎるマリーへ結婚を申し込んで、そのためのパフォーマンスとして、神殿の周りの家々を焼いたとかいう、意味不明な経緯があることが判明した。
このドラゴン、本当に殺したほうがよかったかもしれない。
「よくノコノコ姿を現したわね! ここで成敗するわ!」
「ひぃい!
勘の鋭いマリーは、蒼き竜の正体にたどりつき、腰の剣に手をかけかける。
だが、それは俺が止めさせた。
マリーが一瞬だけ躊躇した隙に、俺はすかさず、ジークの光る髪の毛を鷲掴みにして、マリーに誠意をこめて頭を下げさせる。
ジークはえらく畏まりながら、何度もマリーへ謝った。
「むぅ、マックスがそう言うなら……でも、わたしに謝るだけじゃ全然足りないでしょう? ジークって言うのよね。あなた、本当に街に許してもらいたかったら、慈善活動を頑張りなさい! 罪人の烙印を押されたオーウェンだって、あの日以来、卵とかぶつけられながらも、罪滅ぼしのため頑張ってるんだから!」
「ぅぅ、わかったんだぞ……僕はドラゴンだから誇り高く生きるんだ! 自身の罪は自身で精算する! あの剣豪にできて、僕に出来ないことはないんだ!」
「その意気やよし! いいわ、街のみんなにはわたしから説明してあげるわね!」
1分もたたずに、完全にジークを手なづけ、マリーは満足げに彼の頭を撫でた。
ペットか何かと勘違いしてるようだった。
その後、俺とマリーはジークを護衛という名目で近くに配置しながら、桜の木下で彼女が直前に焼いてきてくれたパンケーキを食べることにした。
ふわふわの触感に、口のなかで広がる香りの爆弾。
鼻から抜けていく旨味に、全身がもっともっとと、次のひと口を求めてやまない。
相変わらずレストランを開ける腕前に、ほっぺたが落ちそうになりながら、紅茶をひと口ふくむ。
ほとんど桜ではなく、マリーを見るという、お花見ならぬ聖女見をしながら腹を膨らませた。
桜を見上げて、感慨深そうにするマリーの横顔を眺めながら、俺は昨日出された課題の答えを、いつ言おうか迷っていた。
俺がマリーに「俺と一緒にいて楽しいか?」と尋ねたのに対して、まさかの″ノーコメント″も返されるという、寝られないほど恐ろしい課題。
「今年もほんとうに桜は綺麗だわ。こんなに美しいのに、ひとつしか木がないのは残念よね」
「そうだね……」
「ん、どうしたの、マックス、そんなに思いつめた顔して?」
心配そうにするマリー。
俺は彼女へ、こたびの課題の答えを告げることした。
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