210日目-⑮

魔王が勇者になって【七十一日目】

※魔王本人により頭こと以下省略が代筆を行う。

魔王は瞬間移動を行ったあとに膝から崩れた。汗を垂ら顔色も良くない。

『魔王!大丈夫!?』

『ああ、まあ……ちょっと気張り過ぎたな』と魔王。

コツン、コツン、コツンと靴の音が廊下に鳴り響く。

『いい城じゃな。お主のいない間住まわせてもらっているぞ』

廊下の陰から現れたのは少女だった。

『……ばあさん。なんでこんなところにいるんだ』と魔王。

『すまんの、歳のせいか耳が遠くての』と謎の少女。

『そうか、耳が悪いのか。それは残念だなせっかく"娘"の情報を知っているのに』と魔王。

少女の眉間が微かに反応した。

『不思議だな、耳は聞こえないはずだったのにな』

『はっはっは、歳をとると体がのお、身勝手な素振りをするようになるのじゃ………ぬぅ、お主カマをかけたな』と謎の少女。

『ばあさんがそれを言うのはひどくねえか』と魔王。

『……まあ、よい。頼み事があって来たのじゃ』と謎の少女。

『軟膏なら持ってないぞ』

『ほっほっほ、違う違う。簡単なことじゃ』

『‥‥‥』

『後生の頼みじゃ……殺されてくれんか?』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る