203日目-⑥
勇者になって【六十四日目】
『言っとくが、この国を襲った張本人だぞ。恨んでねえのか』
『うん、全く』
『全くって、なんでそう言い切れる』
『魔王が考えもなしに、この国を襲うわけないもんね』
『本当になんでこんなに信頼されてるのかわかんねえ』
『小さい頃に家老から聞いたことがあるんだ』
『埋蔵金?』
『いや、君の正体』
『……』
『君の先祖は――正統な『勇者』の一族だ』
『……』
『君の先祖は『魔王』を倒した。それから君の先祖は『魔王』を名乗るようになった』
『……まあ、確かにその話は親父からも聞いたことがある。だが先々代は若干ボケてたから。本当かどうか知らんけどな』
……先々代は何をしたのかね。
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