勇者になって【六十一日目】

城の中にまた来るとは思わなかったが。殊の外簡単に城に入れてよかった。まあ、襲ってるから警備がガラガラなわけだが。

『パイモンどこだ、こんなに広い城じゃ探すの大変だぞ……』

ため息声が出る直前に上の階から破壊音が聞こえた。

……上か。

上に駆け上がっていると、パイモンを見つけた。この国の剣士を殴ってふっとばしているところだ。

『おい！パイモン！』

『あー、魔王、久しぶりーってなんでここにいるん？』

『この城に将軍がいるんだとさ。サキュバスが教えてくれた』

『へえ、そっかならこの城を爆発させてもいい？』

『……まあ、いいが。その代わり十分待て。いいな？』

『ぐぬぬぬぬ、十分我慢できないかも……頑張ってみるけど』

『ぜひそうしてくれ』

タイムリミットを作ってしまった。まあいいか。

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