勇者になって【五十六日目】

『で、どうやって人魚さんを攫おうか？』

『というかなんで、人魚を攫う話になっているんですか……そもそもどこですかここ』

『着いてから聞くんだな、それ』

『教えてくれなかったからですよ』

『民宿らしい』

『いや、店のことじゃなくて、この国に呼んだ目的です』

……話してなかったっけ。あちゃ。

『えーっと、ここは『ニッ国』で鎖国してる国なんだ。国交を完全に断ってる国なんだよ。もちろん表での話だけど。そんで目的はこの国の国宝の『人魚の血』なんだけけれど……』

『けれど……？どうしたの？』

『人魚に会った』

『はあ？！』

『だから、その人魚を攫った方が早いんじゃねえかなって』

『でもどうやって探すの？』

『あー、大丈夫彼女には触れたから、近くに飛べる。二人には人魚を攫った後のことを考えてくれ』

『分かったわ』

『了解しました』

『あと、魔王城には戻らないから、そのつもりで』

『『えええ！？』』

二人ともめちゃくちゃ驚いていました。

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