192日目

勇者になって【五十五日目】

牢屋から抜けだして服を拝借し下町に逃げた。

『確かここら辺で待ち合わせたはずなんだけどな……というかそもそも来るかな』

後ろから頬をつんつんされた。

『待ちくたびれましたよ、魔王さん』

『魔王、無事で何よりです』

そこにいたのは、頭と聖龍だった。依頼から帰って来たようだ。

『そっちも無事に国に入れたんだ。良かったよ』

『聖ちゃんがフォローしてくれたんです』

……聖ちゃんて。随分仲良くなったんだ。

『頼み事は、うまくいった?』

『それはもちろんうまくいったよ、もちろんバレずに』

『そっか、サンクス。それじゃこれから人魚を誘拐するぞ』

『え?!うそでしょ?!』

『魔王!?』

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