魔法

感熱紙のレシートから

蒸発する初夜の記憶

苦痛でしかなかった

零時を知らせる鐘


アスファルトに崩れ落ちながら

市販薬をほおばる

五百ミリリットルでは足りない

喉に詰まった蝙蝠こうもり


「あいつ月見て泣いてるぜ」

断じて違う

レンズの焦点を合わせる潤滑油が

少し塩辛いだけなのだ


薬局はどこだ、コンビニでもいい

シュークリームの乳脂に

弾丸を装填して頬張れば

都市の味が脳髄に広がる

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