クイズに間違えたら即死亡

右ひざ

プロローグ

「問題。主に東北地方などで夏の始め頃に吹く——」

 ピーン——と、切れのいい音が鳴る。

 その音は不必要に広いこの部屋の中を走るように響き渡って、また耳に戻ってきた。

「やませ」

 暗い部屋。テーブルを挟んでちょうど俺の正面に座るおかっぱ頭が、場にそぐわないほど歯切れよく答えた。目前で灯った赤いランプは鈍い光を投げかけ、その無表情を不気味に浮かび上がらせている。

 一瞬の間があって、正解を知らせるブザーが鳴った。

「正解! 遠西くんはこれで5連答だね。他のみんなも早く押さないと、あっという間に優勝決まっちゃうよ〜?」

 鼻につくくらい感情の乗った機械音声が明るくそう言って、

「……っ」

 またすぐに、テーブルを囲む俺たち4人の間には重苦しい空気が立ち込める。

 指を乗せたボタンにじっとりした汗が伝っていく。

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