死の国

高井頼斗

プロローグ 死の国へ

 現在、20XX年 

「痛いよぉ…」

 僕、葛之葉未来は事故に遭った、いや正確に言うなら事故に遭いそうな女の子を庇ったのだ。

 この声は多分さっき助けた女の子だろう、助けられたのなら良かった。安堵感とともに意識が朦朧とする。

「…もう…死ぬのか…18歳なんだけど…」

この世界で最期の言葉だった。


 意識が覚醒する。

「ここは何処だろう…?いや、それにしても僕は死んだはず…なんで生きてるんだ?」

混乱していると、

「君は確かに死んだよ、トラックに轢かれてね♪」

突然な声に僕はびっくりした、だがそれよりも気になるのはこの少女は一体いつから居たのか、更に僕が死んだという事実を何故知っているのか…

「あははっ混乱してるね、仕方のないことだけど」

少女は機嫌が良さそうに笑う、とても可愛らしい。でも、今はそんなこと考えてる場合じゃない。ここは何処で、少女は何者なのか、そして何故僕がここに居るのか…聞かなくてはならないだろう。

「えっと…ここは何処で、君は誰?そして、何で僕はここに居るんだ?」

返答を待つ、少女は苦笑いをして答える。

「質問攻めだね…ちゃんと答えるよ」

知りたいことを教えてもらえるようで良かった。しかし、改めて少女を見ると人間には見えない、アニメでよく見るような悪魔のような姿だ。そんなことを考えていると少女が質問への返答をする。

「まず、私はここの案内役で愛夏(まか)って言うの、そして貴方がここに居るのは死んだから」

言いたいことはいっぱいあるが、あと一つの質問についての返答を聞いてからにしよう。

「そして、ここは死の国だよ」


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