心配しているんだよ
「本当にここなのか?」華麗の案内で、響樹達は『グラン・オーバーズ』の日本支部に来た筈であった。
彼らは華麗が指差した建物を見て驚愕の声をあげた。
それは、響樹達も見たことある有名な建築物であった。
「造幣局・・・・・・なのか?」初めて来る場所ではあったが、その場所は響樹も良く知っている。日本中の通貨を製造する場所である。確か、桜でも有名な場所だ。
「華麗ちゃん・・・・・・貴方は、ここがグラン・オーバーズの拠点だと言うの?」シンディは疑心暗鬼の目で華麗を見た。
「表向きの顔は知りませんが、ここが日本支部です。 正面では無く、あちらの入り口から皆出入りしていました」華麗が指差す先に質素な出入り口が見えた。 ただ。そこには屈強のガードマンが二人立っていた。その様子はとても民間会社のガードマンとは思わないものであった。
「あれは、普通の人間ではない・・・・・・まるで、仏像かなにかのようだ」静香が呟いた。
「行くのか?」響樹がゴクリと唾を飲み込んだ。
「ええ、響樹はここで合図するまで待っていて、・・・・・・・華麗ちゃんは、ここまででいいわ」シンディが二人に指示する。 響樹は頷くが、華麗は顔を赤くして反論する。
「か、華麗も行きます。華麗も、お姉さまをお助けしたいです!」
「無理だ。普通の人間は足手まといになるだけだ」静香が日本刀を袋から出して、目の前で横一文字に構えた。
「そ、そんな・・・・・・」華麗は泣きそうな表情を見せた。
「御免ね、華麗ちゃん・・・・・・でも、邪魔はしないで」その言葉を合図のように、シンディと静香は飛び出していった。
「ひ、酷い・・・・・・!」華麗は両手を握りしめて震えていた。
「キツイ言い方をしたけれど、二人共、華麗の事を心配しているんだよ」響樹は小さな子供に言い聞かせるように彼女の頭を撫でた。
華麗は、拗ねた子供のように俯いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます