51日目
「ごわぁああああ――――! 赤点かーーーーー! 」
猿殺がなにやら騒いでいる。
俺は、戻って来た試験用紙を眺めながら耳だけ向ける。
不思議なものだ。特別な自習などせずとも授業を真面目に聴いていれば随分と余裕を以て試験に挑めるはずなのに。
俺がそんな事を思ってると
「何点だった? 」と彼女が後ろを振り返って訊いてきた。
答えるでもなく、点数を視える様にした。
「わぁ、すごい、君ってやっぱ賢いんだね」
褒められると悪い気はしない。
でも、素直に喜べない理由もある。
「……いや、すごくなんてないよ」
彼女は、プッと頬を鳴らすと
「謙遜しちゃって」と笑うが。
「でもさ。
もし、1年皆より長く時間が在ったらさ。
君も多分今の点数より多く取れるだろ? 」
その俺の言葉がよく理解出来なかったらしく、彼女は首を捻って前を向き直ってしまった。
――異世界転生まで
あと49日――
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