49日目
「あっついねぇ」
「まぁ来週から衣替えだしね」
俺は、原稿用紙に目を落としたまま返答する。
「……へへ、アタシね? 6月誕生日なんだ」
突然、嬉しそうに彼女がそう言ったから、思わず視線を上げてしまった。
そして言葉の抑揚通り、彼女が満面の笑みを浮かべていて、思わずこちらの心もウキウキとしてしまう。
「お、おめでとう」なんとか振り絞って出せた言葉だった。
「へへ、ありがと。
……ところで君の誕生日はいつなの? 」
「え? 」
俺は、驚いて彼女と目を合わせてしまった。
一瞬色々な考えが浮かんだが、答えるのに問題は無いだろうという判断を下した。
「2月」
「なんにち? 」
「……14日……」
「バレンタインデーじゃん‼ 」
目をキラキラと輝かせた彼女を見て、やっぱ言わなきゃよかったと思った。
――異世界転生まで
あと51日――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます