27日目
「ねぇねぇ、ここはどうやるの? 」
彼女が自分のノートのページを指さしながら、俺の方へ顔を伸ばす。
シャンプーの匂いなのだろうか? 放課後だというのに先程風呂に入ったのではないかという程にいい香りがそこから漂う。
「そこは、先に因数分解をね……」
なるべく髪の匂いを嗅いだことをばれないように、必死で計算を解いていく。
「すごいねー、君やっぱ頭いいね―」
無邪気な瞳に、苦笑いが浮かんだ。
「あのねー、笑わないで聴いてくれる? 」
突然真剣な表情で彼女が言いだした。
「え? 」俺は、思わず周囲を見渡して誰もいない事を確認した。
これってまさか……? どきどきと心臓が高鳴る。
「なに? 」声が震える。
彼女は、ちらりと一度上目遣いでこちらを見ると、顔を赤らめてもう一度視線を落とした。
やがて、意を決したように口を開いた。
「アタシ、実は小説を書いてるんだ」
……
「はぁ?」という返事が勝手に出た。
――異世界転生まで
あと73日――
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