妖の世界・弍
夏希は、鳥居の内側を探索する
屋台以外はこれといったのがないが…ある程度のことがわかった。
この神社全体には結界が施されていた、理由は分からないが…何のためにそんなことをしたのかさえ分からない。
ただ、今わかるのは妖力で扱える武器…妖刀
これはこの神社を守る為に作られた妖専用武器である事だ。
代々、妖が受け継がれてこの武器を手にする
しかも、それが持てるのは…半妖で公平や夏希と千棘みたいな半分が人間である事。
理由としたら、持つのは実体がある鞘と柄
妖力を注ぎ込んで刀身出来上がると言った条件が揃わないと無理だとか。
ただ何のために、この神社と妖刀をがあるのか不明点でもあるが…この2ヶ月ぐらい前に見つけた、神社にあった古文書らしき物を見つけた。
夏希は、その古文書を開きパラパラと読む。
んー?古文書の解読なら自信ある方なんだけどな…この文字は分からないね…。
その古文書の半分から先には、解読不可能な文字が沢山書かれている。
夏希は古文書の半分は解読できたが、半分は意味がわからないのである。
まぁ半分は読めたから良しとしますか。
その古文書の半分はこう記されていた。
「暁と妖は、長きに渡り村の平和を守って来た。それは約250年前からである。だが、そんなある日に…暁と妖の間に生まれた子。それがきっかけにより、暁と妖が争いを起こすようになっていった。それは約150年ほど前、それから50年後のある日…とうとう血で血を洗う様な激戦が起きる。だが…暁と妖の双方が一瞬にして壊滅した、そう…暁の妖の間に出来た子が全てを破壊したのだ。このままでは不味いと思い私はこの神社に…「結界」を貼ることにした。そして武器をこの寺に隠すことにしよう。寝ても醒めても…終わりがあるように」
夏希は、この神社に結界がある地点では薄々感ずいてはいた。
だが、まだ腑に落ちない…守るためといえとも、誰をなんのために守るためだったのか不明である。
「しかし、250年前からあるね
古文書を解読できないように文字を変更したのかもしれない。
だけど、そんなことができる人ってーーーー。
「キミは、知りたいのか?」
「えーーー?」
ーーーーーー
一方、公平は…山に隠りひっそり武者修行
この数ヶ月の間、鍛え上げてきた。
そして今日、神社に戻ろうと思い…けもの道を降りおりると…神社の方から殺気を感じた
「……暁じゃないけど、何だこの力…?」
まるで同質の妖力が倍増されたような感覚である。
急いで、神社に戻ると…九本の尾と首に黄金色に輝く鈴と瞳、耳をぴくぴくしながらこちらを向いた。
「あら?お仲間かしら?」
「お前何者だ…?」
「女の子に名を聞くならまず自分を名乗ったらどうかしら?」
「…公平」
「ん?公平…。確か私の夫の百九十二人目の夫の名前が公汰だったかしらね」
「えぐ…」
「えぐさはないわよ、えーと夏希だっけ?長生きするとね寂しくなるのよ。妖よりは長くないけど、一緒にいる時間が大事よ」
「ビッチ…?」
「おやおや?お姉さんに向かってビッチはないわよ?なら君も似たようなものでしょ?童ーーー」
「な、なんでそうなるんだーーー?!?!」
髪の毛を軽くなぎ払い、九本の尾をした女性はこう話し出す。
「私は、妖の中では一番強いと称されてる九尾のサクラ。君達半妖は、何人も見てきたわ」
「は、はぁ…」
「サクラさんは、暁の事はある程度は知ってるみたいよ」
「本当か?」
「まぁ、私が生まれてすぐに激戦が始まったみたいだけど」
「そうか…やっぱり微妙なんだな」
「そうなるわね、だいたい暁は妖よりも遥かに凌ぐ力があるとかね」
「マジか…」
「それに、なんでそれを知りたいのよ?」
「囚われた日常を取り戻す為にやってる」
「ふーん。でもね、知ったからには宿命から逃れられないわよ」
「なんの事だ…?」
「永劫回帰って分かる?」
「確か、永遠に繰り返すことを意味するね」
「そうよ、何百年前から同じことが繰り返されて終わりが見えない状態になるわ」
「え…?」
「だから、その謎を解いちゃっても、また数百年後にはまた起きるのよ。だから、私は諦めなさいっと忠告しに来たのよ」
「………。」
公平は、静かに黙って下を向いて
ゆっくりと顔を上げて言う。
「謎を解きたい、それが使命だとしても…今は他人事にはできない」
「公平…」
「ふん、なら頑張るんだね。あ、そうそう…君達さ私の娘と仲良くしてるみたいね。ありがとうね」
ふたりはキョトンとしてサクラが神社から去るのを見送った。
娘って…誰?っと言うような顔をするふたりの背後から「なーに突っ立ってんのよ?」っと後ろから声が飛び振り向くと白夜の姿があった。
「ほら、どきなさいよ。私が背が低いのは関係なく避けてちょうだい」
この喋り口調で、公平と夏希は察した
(サクラの娘って白夜なんだ…)っと。
「ん?そんなに私の顔見つめてどーしたのよ?」
「いや…」
「なんでもないわ」
「……?変なの」
ーーーーーーーー
同刻、夜7時頃。
ある村から離れた位置ーーーー
隣の街から高いビル屋上から村を見る青年と少女。
「妖が住む村って案外近いのですね?」
「まぁ、あくまでも隣りだからな。なんせ…妖の村って言われてたらしいからな」
「で、私達「暁の部隊」はこれからどう動くつもりなの?」
「奴は妖に取り込まれちまった以上…救いようがない。そう言われてたろ?」
「……そうだね。彼の眠る力を目覚めさせる前にーーーー殺らないと」
夜が明けの時間帯、丑の刻参いの午前四時。
その狼煙は、不意に始まるのであった。
公平が、違和感で目覚め…それと同じくして白夜と夏希も目を覚ます。
紅色に染る月明かりと屋台、明らかな違和感の中…鳥居をすり抜けて入ってきた2名。
「……なっ!?」
「結界が破られてる…?」
「それにあの二人は一体…?」
「暁の部隊ね」
「暁の部隊…?」
「暁の使者に並ぶ強さがある部隊よ」
パチパチと拍手する青年
そしてこう話し出す。
「妖の者達、今日こそはここで死んでもらう。さぁ、先祖の仮を返させて貰う」
「戦う理由なんで無いだろ。あの戦いはーーー」っと言い切る前に公平の頬に刃が当てられる。
そして、青年はこう言った。
「良い目覚めの中悪ぃな、さぁ…始めようぜ。公平」
すると、公平の頭に軽く痛みが走る
そして脳裏に浮かんだのは…誰かの姿だった
幼い頃、一緒に遊んでいたが…ある日の堺に会うことがなくなった。
何故かと言うと…その人は交通事故にあった
その時のニュースが微かに思い出させる。
「……どっかであったのか…?」
「オラ、余所見してんじゃねぇぞ!」
「くっ!?」
刀と刀の衝突、擦れ合い、そして公平は青年に蹴飛ばされる。
「っ…私達も加勢するわよ夏希!」
「は、はいっ!」
青年の前に立ち塞がる少女、白夜と同じく巫女姿である。
「あんた…まだ諦めてなかったのかしら?」
「…私は私の使命があります。白夜、例え戦うことになってもやらなきゃいけない」
「ふん、私もここを守る狐としてそしてあんたの野望も阻止してやるわ!」
「面白いですね…!」
「夏希…あんたは公平の所に行きなさい」
「え?でも…」
「妖同士の戦いに半妖が戦ったらそれこそ死ぬわ。ほら行きなさい」
「うん…」
夏希は、公平の所まで走るが…青年はこう言う。
「やめとけ、今のお前じゃ奴を抑えられない」
「え?どうゆう意味ーーーー?!」
紫色の電気がバリバリと公平が吹き飛ばされた建物から発生する。
そして、バンッ!と音が弾け飛び…公平が出てくる。
だが、その姿は…忌々しく…獣耳や尻尾が生えて目の色は金色になっている。
「やっとお出ましになったか…
「レール・ビースト…?」
「お前たちの村じゃ知らないのも無理がねぇ。なんせ消されて記憶のほんの一部がレール・ビースト。先祖の神隠しとは、こうゆうものまで作り上げていた…だから潰さなきゃ行けねぇ」
青年は、2本の刀の柄をくっつけた
クロス・セイバーという武器になる。
「さぁーーー来い!!」
2箇所の激しい轟音と、戦闘音が鳴り響く。
だが、勝敗はあっとゆう間に終わる。
青年は劣勢になっていき、吹き飛ばされ
少女と白夜はほぼ譲り合わないが…白夜の方が劣勢になりつつあった。
青年は、クロス・セイバーを回転させながら
十字に切り裂いた衝撃波を飛ばす。
真っ向から突っ込んだ、レール・ビーストは見事に衝突し白煙を舞いあげた。
だが、レール・ビーストは刀を投げ飛ばし
青年の腹部を貫き、背後にある大木樹に突き刺さる。
「ぐはっ…!?くくっ…少し見余ったか…」
レール・ビーストは、鋭い爪をギラっと光らせてた。
「トドメ…刺せよ…。目覚めさせたのは俺が悪ぃ…。オチとしちゃ十分だろ…」
だが、夏希が背後から公平に抱きつき動きを止める。
「……なんの真似だ?」
「別に君のためなんかじゃない、ただ私が知る公平を…目覚めさせなきゃ…。公平、あんたは謎を解き明かすって言ったよね?なのに、そんな変な封印に負けてどうするのよ。ここで誰かを殺せば一生妖なんだよ!!それでもいいのーーー公平ッ!!」
すると、レール・ビーストの体から淡い光が放たれ一瞬にして包み込み
その光が消えるのと同時にレール・ビーストの姿は…人の姿へと戻った。
「……。つくづく変な連中だな…」
「公平…!」っと声が飛んだ
ボロボロの姿の白夜と、その脇には白夜の肩を借りながら一緒に歩く少女の姿。
「蹴り着いたんですね…?」
「あぁ…
「翔君ごめん…。君まで巻き込んじゃったね…」
「ははっ…いいって…ことよ…」
翔は、力抜けたように下を向いた
突き刺さった刀を夏希は抜き取り見下ろす
「………」
「大丈夫ですよ…彼は…不死ですので…」
「そうなんですか…」
それから数日後ーーーー。
暁の部隊は…傷を癒してから寺を去った
当面、こちらに出向くことは無いだろう
だが…公平の隠されたレール・ビーストはこの村と何らかの関係があるとして白夜達は調べたが…記述がなくお手上げであった。
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