魔王「お前に世界の半分をくれてやろう」勇者「嫁にしてくれ」魔王「えっ!?」
節トキ
マリリン、出会う
あたし、マリリン!
趣味はネイルアート、食べ物はラブラブベリーがだぁい好き、お歌はちょっと下手っぴだから苦手……そんな普通の女の子よ。
まだ成長期の途中だけれど、同年代の子に比べて体の発育は良い方みたい。こないだなんて、ついにお父様の身長を追い抜いたんだから。えっへん、すごいでしょ!
でも、お父様と背比べをしたのはもう一ヶ月も前。お父様はあたし達が暮らしてるこの山を管理する偉い人みたいで、忙しくてあまりお家にいないの。
ううん、寂しくはないわ。お家はとっても大きいし、お世話してくれる者達だってたくさんいるし、皆すっごく優しいもの。
お母様はあたしを生んですぐに亡くなったそうで、お顔も知らないんだ。けどね、美しいだけでなく上品で教養に溢れていて誰にでも優しい素敵な方だったって、お父様も皆も教えてくれたわ。
お母様は、あたしの理想のレディ。
想像を膨らませるしかなかったせいで、お母様への思慕を拗らせちゃったっていうのもあるかもしれないわね……。おかげで男性よりも、素敵な女性の方に惹かれるようになっちゃった。ばあやが聞かせてくれる物語でも、美しいお姫様だとか儚げな妖精さんに心奪われちゃうの。この気持ち、女の子ならわかるよね?
お家で働いてる者達の中にもレディと呼ぶに相応しい美女がたくさんいるけれど、いつかは舞踏会だとかダンスパーティーだとかに行って、ドレス姿のお嬢様達とお知り合いになりたいわ。それが今のあたしの夢よ。
なのにお父様ったら、ほとんど家に帰ってこないくせに一人娘のあたしにすごく過保護なのよね。お外は危ないからって、お家の外にはなかなか出してくれないの。こっそり抜け出して、近くの森でお花を摘んだり泉で水遊びしたりするくらいで精一杯よ。
今日もまた一日お留守番。
そこであたしはいつものように、じいやとばあやの目を盗んで一人でお外を散策していたの。本はもう全部読み尽くしたし、同じ面子と舞踏会ごっこ遊びするのにも飽きちゃったんだもん。
ところが、聞いてよ!
天気がいいから、お気に入りの場所で日向ぼっこしようとしたんだけどね…………そこで何と、生まれて初めて『人間』に出会ってしまったのよ!!
人間の存在は、ちゃあんと知っていたわ。だって人間はあたしにとって憧れの存在だったもの。
外見はエルフのように儚げなのに、心はオークよりも熱くて強い……もう全てが最高すぎるじゃない! 図鑑だけじゃなくて、お父様におねだりして人間の絵本もたくさん持ってるんだから!
その人を一目見るや、あたしの胸は森の木々を振動させるほど激しく高鳴ったわ。
憧れの人間を目の当たりにしたというだけでもドキドキなのに、さらにその人、すっごく綺麗な女性だったの! あたしの家にいる守衛達の下っ端にも及ばないほどお粗末な鎧を着ているけど、長い金髪も青い瞳も白い肌も、絵本で見たお姫様よりも美しいの!!
まさにあたしの理想のレディよ! ああん、お姉様と呼ばせてくださぁぁぁい!!
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