超短編小説群

となりのうちの内田くん

　となりのうちの、内田くん。

　家はとっても近いのに、違う学校に通っている。

　となりの席の、関口くん。

　家はとなりの町なのに、同じ学校に通っている。

　なんでだろう？

　あっちの人が、こっちに来たり。

　こっちの人が、あっちに行ったり。

　なんだかとってもややこしい。

　すごく大きな学校をつくって、みんなでそこに通えばいいのに。

　となりのうちの、内田くん。

　内田くんとぼくは友達。

　となりの席の、関口くん。

　関口くんとぼくは友達。

　でも、内田くんと関口くんは友達じゃない。

　内田くんにも、ぼくの知らない友達がいるのかな。

　関口くんにも、ぼくの知らない友達がいるのかな。

　ぼくの知らない人たちと、二人が仲良くしてると思うと、なんだか少しもやもやする。

　友達の友達をみんな集めて、みんなで仲良くなれればいいのに。

　となりのうちの、内田くん。

　内田くんは、運動が得意。

　大きな犬を飼っていて、毎朝散歩に行っている。

　となりの席の、関口くん。

　関口くんは、勉強が得意。

　本を読むのが大好きで、休み時間も読んでいる。

　そして、ぼく。

　ぼくは運動がにがてで、勉強もきらい。

　朝早くなんか起きられないし、本を読んでたら眠くなってしまう。

　ぼくはゲームが好き。

　友達と遊ぶのが好き。

　みんなこんなに違うのに、なんでぼくらは友達なんだろう。

　考えたけど、わからない。

　となりのうちの、内田くん。

　となりの席の、関口くん。

　ぼくとは全然ちがう、二人のことがぼくは好き。