無音掃除機

 弱小家電メーカー『HATATI』の開発した無音掃除機はまるで売れなかった。


 掌に乗るくらいコンパクトで、しかも全く音がしないのだが、同時に吸引力がものすごく弱いのだ。


 だが、それに目をつけた会社があった。


 文房具メーカーの『HOKURO』だ。


 HOKUROは無音掃除機をさらにコンパクトに改造し、消しゴムかすクリーナーとして販売した。


 授業の邪魔にならず、スペースもとらない無音クリーナーは売れに売れた。


 今度は少しだけ音が出て、吸引力も少しある微音クリーナーを発売する予定だ。


 ターゲットは教師。


 服についたチョークの粉を、静かに吸い取るのだ。

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