無欲な王様

 いつかの時代、どこかの国に、とても豪勢な暮らしをしている王様がいた。


 毎日五食はご馳走を食べ。


 美しい女性を百人も侍らせ。


 楽団を呼びつけては、一日中陽気な音楽を演奏させていた。


 もちろんそのお金は、民が一生懸命に働いて稼いだお金だ。


 そんな王様に対し、民はとうとう反乱を起こした。


 反乱の首謀者は、捕らえられた王様に対してこう言った。


「強欲な王め。お前の欲のせいで、大勢の民が飢えて死んだ。地獄に落ちるがいい」


 すると王様は、


「わしほど無欲な人間はいない。なぜなら、わしは万民ばんみんの幸せなんて大それたことは望まず、自分ひとりの幸せだけで満足していたのだから」


 と言い返した。


 王様は首をはねられたが、その顔に反省の色はなかったという。


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