投 稿

高草木 辰也(たかくさき たつや)

第1話  投 稿

 インターネットが普及してどれくらい経つだろうか。


 私が若い頃にはそんな便利な物はなかったが、今では当たり前の道具として活用している。


 YouTubeをはじめとした動画配信や怪談朗読。FacebookやTwitterなどのSNS。更には小説や写真、イラストなどが誰でも自由に投稿できる各種投稿サイト。 ショッピングサイトなら、企業や個人があらゆるものを販売することもできる。


 「発表の場」と言う言葉を耳にすることがあるが、インターネットは、まさに便利な発表の場であり、個人個人が思い思いに社会に向けて、いや、全世界に向けて発信することが出来る。 何と素晴らしい道具なのであろうか。


 だが、あくまでもバーチャルな世界であることを忘れてはならない。


 例えば、SNSで「友達」や「フォロワー」として繋がったとしても、リアルにお会いすることは滅多にないだろうと思う。 “お会い出来れば” の話だが・・・。


 かくいう私も御多分に漏れずこうして下手な文章を書いて、各種サイトに投稿し、皆さんから御評価やコメントを頂いたりしている一人である。頂いたコメントには必ず返信しているが、「心の繋がり」とでも言おうか、実に楽しくお付き合いして頂いている。


 私の様な者にとっては全くあり難いことで、老若男女を問わずいろんな方々にお読み頂いて、感謝してもしきれないくらい感激している。  たとえバーチャルな世界とは言え、私ごときをお気に留めて頂けただけでも・・・・・



「キャッ、 何これ・・・。 PCが・・PCが・・」


「お母さ~~~ん、 大変、大変、  あたしのパソコンが、パソコンが、勝手にうごいてる~~~! 」

「パソコンが勝手に文章を書いてる~~~! 怖~い、ハッキングとかなの? それとも、

幽霊なの~~???  」



 おっと、いけない。 この家の娘さんは、まだ中学生だったな。脅かしてしまったな。

いかん、いかん、申し訳ない。


 そう、私は・・・。 今日は春分の日、春のお彼岸だ。 もう少ししたら私の命日だ!

私も、死んで何年たつだろうか? 誰か線香の一つもあげてくれないだろうか?


 皆さんは昔、道徳の授業か何かで教わらなかっただろうか?


「人を思いやる心。 相手の立場になって考えなさい。」 と・・・。


 たまには我々「死者」の立場に立って考えてみてはいかがだろうか?


 

 もし夜中に私があなたの部屋にお邪魔して、こっそりパソコンをお借りしたとしても、そっとしておいてください。決して危害は加えませんから。

 それから、コメントはどしどしお寄せください。必ず返信(?)致しますから。


 いつか皆さんとお会いできる日が来ることを楽しみにお待ちしております。


         彷徨える世界から愛をこめて   三月吉日

                       高草木 辰也



                 春のお彼岸怪談  おわり

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