Sanctus 5
「全隊、まもなく出撃します。各部隊は、部隊長の指示に従って、地上連絡坑から地上に出撃してください。
ハルカの指示に従い、
「
ハルカの冷静な言葉に、全員の装備が黒く染まる。
エレベータが開き、地上への連絡通路に出ると、ハルカは先頭に立ち全員を見上げる。ここにいるのは普段から率いている第一部隊だけだが、みな引き締まった表情でハルカを見つめていた。緊張の先を行く、もっとも力を発揮する表情。ハルカはそれをよく知っている。
「螺旋階段を上った先は地上です。前の人が出たらすぐに続いてください。引き返す、もしくは待機する場合は立ち止まりますので、足を止めてください。得物は地上に出てから抜いてください」
冷静に、丁寧に作戦を説明するハルカ。分隊を任された残りの二名も、おそらくは思い思いの方法で隊を統率しているのだろう。しかし、第一部隊は常にこのやり方で、損害を最小にしてきたのだ。
彼ら、もしくは彼女らは明らかに、最大の能力を発揮できるような環境にあった。地上に出た第一部隊は、ハルカを除いた全員が自らの得物を取り出し、翼をはためかせる。
「上空で待機。敵と接見次第攻撃展開します。あとは指示しますのでその都度確認してください」
そう指示するとハルカは先に飛び立った。セリナたちもすぐにハルカに追従する。
空はまだ、静けさを保っていた。
第一部隊が空中に集結してまもなく、それほど離れていない場所から、黒い列が飛び出してきた。それとほぼ同時に、別の場所からも黒い点が列になって煙のように上へと伸びている。
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