お礼参りへ
旅館八幡にて、朝6時起床。久しぶりの布団でぐっすり眠れた。とりあえず持ち込んだスティックコーヒーを作って飲むことにする。旅館だけど朝食なしの素泊まりプランなので、朝食はどこかコンビニでとることにしよう。準備を整え、朝7時に旅館を出た。
駐車場に行き停めていた自転車を見ると、後輪の空気が抜けている。昨夜走っている時は特に違和感もなく、自転車を停めたときは空気が入っていたはずなのに。この旅初めてのパンク。めんどくさいことになったと思いつつ、修理に取りかかる。
まずは荷物を全部外し、後輪を外した。サドルの下に取り付けたバックに入っている工具を取り出し、タイヤとチューブを外す。タイヤを確認するのが、釘やガラス片など異物は刺さっていない。チューブにも大きな穴がないので、小さな穴が空きゆっくりと空気が抜けたのだろう。原因はよくわからないが、異物はないのでチューブを交換するだけで良いだろう。自転車にとってパンクはつきものだ。これくらいのことは、一応できる。ただ、手は汚れるし面倒だ。出発するまでに、30分ほどかかった。
本日の目的地、1番札所 霊山寺へは、旅館の前の道を、そのまま進めば良いだけ。狭いわりに通行量の多い道だが、20kmほどの道のり。10kmほど走ったところのコンビニで朝食を。イートインコーナーがないので、駐車場で食べた。
出発から1時間半くらいで、霊山寺に到着。お遍路を始めたのが、もう25日も前のことだ。ひと月も経っていないのに、懐かしい感じがする。初めて訪れたときとは違う、なれた手順でお参りを済ませ、納経所に行った。結願した旨を伝えると、墨書で本日の日にちを入れ、記念にと簡易的な数珠を授かった。
昨日の大窪寺でも、本日の霊山寺でも、お遍路の終わりを強く感じない。やはり最後の高野山が待っているからか。標高800mの地にある、弘法大師の眠る場所。そこを訪れてこそ、感動を味わえるのだろう。本日中に高野山まで行くのは厳しいので、手前にある道の駅まで行きたい。そのためにはできるだけ早くフェリーに乗らなければ。
お参りを終えたのが、9時過ぎ。徳島港を出発する、次の和歌山行きのフェリーは11時にある。それを逃すと13時となってしまう。なんとしても11時発のフェリーに乗りたい。そのためには徳島港までの20kmほどを、2時間弱で行かなねばならない。普通に考えれば20kmを2時間は無理ではない。道に迷わなければ大丈夫だが……
フェリー乗り場への道のりは、大きな国道はなく、主に県道を走る。旧吉野川がうねうねと流れているので、昔ながらの道も、それに合わせてうねうねしている。つながり方がわかりにくい道で、どちらに向かっているかわからなくなり、迷うことが数回あった。地図を見ている時から、わかりづらいと思っていたので、予想通りだ。なんとか吉野川大橋を渡って、川沿いの道に。ここからは直線的な道になっているので、迷うことはない。
無事10時40分頃に、徳島港に到着。11時出航なので、10時半頃には乗船が開始になっているのかと思っていたが、船は港に到着したばかりのよう。乗船待ちのレーンに車やオートバイが停まっている。徳島港ではドライブスルーのような形で乗船チケットが買える。和歌山港では窓口での購入なので、このへんは徳島港のほうが楽。チケットを購入して、乗船待ちのレーンに並んだ。
しばらく待っていると、乗船開始となる。出港時刻の10分くらい前と、わりとギリギリの時間での乗船開始。乗り込む時に、そういえば徳島ラーメンを食べていなかったことを思い出した。今回は縁がなかった、諦めるしかない。
フェリーの中では、寝転んで仮眠を取った。休めるときは休んでおく。2時間ほどの航海。そろそろ和歌山港に到着といった時間に、デッキに出てみた。天気は良いが、海上の風は強く冷たい。ウィンドブレーカーを着ていても、ちょっと寒かった。やっと本州に戻ってきたと少し感慨深く。
13時には和歌山港に到着した。久しぶりの本州。まずは昼食を食べるべく、中華そばの店へ向かう。徳島ラーメンを食べ損なっていたので、和歌山ラーメンが食べたいと思っていた。どちらも地元では中華そばと呼ばれていて、味もなんとなく似ている。昼食は何が何でもラーメンだ。
和歌山市は生まれてから18歳まで住んでいた町で、地図を見なくてもお店の場所はわかる。そんな自信があったのに、行きたいと思っていた店を見つけられなかった。まさか閉店したのか。結局、和歌山ラーメンを代表する、井出商店へ行くことにした。人気店なので、ひょっとしたら人が並んでいるかもと思っていたが、平日の14時くらいということで、並ぶことなく席につくことが出来た。
ラーメンが出来上がるまで待っている時に、行きたいと思っていた店の場所を調べた。まさか閉店したのかと思っていたが、ただの単なる勘違いしていただけ。通りを1本間違えていた。年をとると、こういう思い込みが出てくるものだ。
井出商店の中華そばは、相変わらず美味しい。和歌山の中華そばの主流はもっとあっさりした味だが、僕は井出商店の味も好きだ。こちらのほうが、しっかりと食べた気がする。そして、和歌山の中華そばといえば、早ずしは外せない。早ずしは有り体にいうと、サバの押し寿司。奈良の柿の葉寿司とも似ている。柿の葉寿司と違うのは、柿の葉で巻くのではなく、アセの葉で巻いていたこと。現在はもうアセの葉で巻かれていないので、早ずしと呼ばれているが、以前はあせ寿司とも呼んでいた。和歌山の中華そば屋の定番だ。
ラーメンと一緒に早ずしも食べる。ラーメンと一緒に寿司を食べる文化は、和歌山以外ではないはずだ。昔に比べるとずいぶんと小さくなってしまったが、これを食べないと和歌山のお店来た意味がない。
満腹になったところで、紀ノ川沿いを高野山方面に向けて出発。出来るだけ明るいうちに、道の駅に着きたいところ。紀ノ川沿いにはサイクリングロードがところどころ整備されているので、それらを利用しつつ、走って行く。
17時頃に道の駅に到着。なんとか明るいうちに到着できた。テントの張れそうな位置を下見して、後は暗くなるのを待つことにした。道の駅には休憩室があり、そこでスマホをいじりつつ時間を過ごす。
道の駅の物産館が閉店するのが、18時半ということで、けっこうな時間待つことに。しかし、この道の駅、車が多くて人も多い。18時になっても駐車場に車がたくさんある。経験上、この規模の道の駅では珍しいことと思う。みんな物産館の値引き商品でも狙いに来ているのか? 休憩室にいた若いひとに聞いてみたところ、みんなポケモンGoをしにきているとのことだった。今日は特別ですよと言っている。ゲーム内で特別なイベントがあるらしい。日本一周した2016年も大人気で、観光地や公園で興じている人も多かった。今でも人気があるだなと思う。
あたりが暗くなっても、なかなか人は少なくならず。物産館は営業時間が終わっても、まだ人が残っているようで、電気も消えず。19時半くらいまで待ったのだが、物産館の灯りは消えない。予定していた物産館前ではなく、建物の横にある駐輪場にテントを張ることにした。
いよいよ明日でこの旅も終わり。高野山を上るのは大変だろうけど、最後は思いっきり頑張りたい。
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