『緋色の皇女アンナ』トレーシー・バレット
『緋色の皇女アンナ』トレーシー バレット作/山内 智恵子訳(徳間書店)2001/03
こちらも児童書です。なんでこの人児童書ばっかり読んでるのってそろそろ皆さん思いますよね。だって児童書って間違いがないのですもの。安心して読めるんです。このお話もすごかったー。最後には号泣でした。深い、深すぎる。
十一世紀、ビザンチン帝国の皇女として生まれたアンナ・コムネナが主人公。父親のアレクシオス一世はトルコ撃退のためにローマ法王ウルバヌス二世に援軍を求め十字軍派遣のきっかけをつくった人物ですね。
アンナが弟ヨハネスとの政争に敗れ過ごしている修道院から物語が始まります。そして帝位後継者として過ごしていた時代へと回想が続くのですが。小学生が読んで楽しいのだろうか、これ。大人な私はとても楽しめました。
とにかく人物の造詣が深すぎる。アンナは策略家の祖母から冷酷な女帝たれと教育を受け、染まりかけたもののそれに反発。祖母は操り人形を弟のヨハネスにすげ替えアンナは後継者から追い落とされるのだけど、ヨハネスは本性を隠していただけで帝位についた後祖母を軟禁してしまう。など息をつかさぬ政争劇です。
だけど語り口は誇り高い皇女様の一人称ですからね。それはそれは気品に満ちています。これは「女神墜落」の敬体での執筆にとても役立ちました。インプットって大事ですね。
物語を通して家庭教師シモンやトルコ人奴隷ソフィアとの交流が描かれ、修道院で穏やかなラストシーンを迎えます。アンナを「おちびさん」と呼んで子どものようにかわいがっていたシモンによって復讐の連鎖から救われるのです。素晴らしい最後でした。
初出:読書メモ⑥近況ノート2018年8月16日
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