消滅園

@wzykn_42667

第1話

ここには満12歳の子供しか居ない。私を除いて。

『消滅園』これがここの名前。だけど、園の子達はあまりこの名前を使いたがらない。まぁ、それもそのはずここでは定期的に子供が消える。消える基準はわからず、前回は12歳のやんちゃな子で今回は5歳の大人しい子と無差別に消えるからいつ自分が消えるか分からない。そんな恐怖が相まって名前はあれどみんなここを『園』と呼ぶ。



「今回は最年長の子……」


ここの子供は13歳の誕生日を迎えることなく消えていく。だから私もいつか消えるのだと13歳の誕生日を迎えるまで思っていた。


でも私より上の子達はみんな消えていったのに私だけが残っている。

そんな事実が園の子達と私の間に壁を作った。『この園を作ったのはあの子じゃ…』『あの子が消してるんじゃないの…?』


恐怖を紛らわすために始まったであろう陰口は、今では私の耳に入るぐらいにまでなってきていた。


「私だって消えると思ってたのに…こんなことなら…」


こんなことなら?自殺しとけばよかった?うんん、違う。私は死にたいわけじゃない。

なら…?

分からない。つい口をついて出てきた言葉のはずなのに何故か引っかかる。


「やめたやめた!わかんないこと考えても頭痛くなるだけだし。それよりなんか調べようかな?その方が集中出来て時間潰せそうだし。よし、そうしよう!」


何調べようかな?そういえばこの園ってどのぐらい広いんだろ…?気にしたこと無かったけどなんか気になってきた!

どうやって調べよう……ロープ?でも見かけたことないしなぁ…やっぱり歩幅がわかりやすいかなぁ?めっちゃ広いと大変だけど時間なんてたっぷりあるし、今は興味の方が強い!

そうと決まれば早速角探しに……


『森に入るみたい。なにかするのかしらねぇ?』

『私たちに隠れて次の攫い日も見逃して貰えるようにお願いしてるんじゃない?』

『誰に?』

『さぁ?攫われるとこなんて見たことないもん。どんな人が攫ってるんだか。』

『あの子に聞けばわかるんじゃない?だってもうちょっとで誕生日でしょ?17歳の。』

『17歳だっけ?18とかじゃないっけ?』

『ぷッババアじゃん』

『まあ幾つでもいいでしょ。13歳の誕生日迎えれたことに変わりはないんだから。』

『そうね。でももし話しかけて次の攫いが私になったらどうすんの!?もう11歳だし……』


誰がババアよ!?ピチピチの17歳だっての!外の世界じゃ30歳、40歳は普通に……あれ?なんで知ってるんだっけ…?

私はここで生まれたはずなのに……ん?ここで?

ここには12歳以上はいない。つまり子作りは出来ないはずなのに……


「あ、頭が…」


痛い!何このハンマーで叩かれるような痛み……何か忘れてるの…?

わかんないわ。とりあえず角を探しましょう…


「ここが角か…まぁまぁの距離あったな。」


歩いてるうちに頭痛も和らいだし予定通り調べよう。


「23997、23998、23999、24000歩っと。結構距離あったな〜1歩が大体50cmだから……12kmか」


今日はもう流石に疲れたからもう一方は明日かな。


「それにしてもキリがいいな…何か表してるのかな?まぁ、もう一方の数字調べてからじゃないとわかんないか……久々にこんなに歩いたな〜昔はよく走り回ってたんだけど……まぁ、今の関係じゃ昔みたくは遊べないか」


帰りたくないな……もうここで寝ちゃおうかな…?

逃げちゃダメ!それこそ変な憶測が広まりかねない。それに


グゥ〜〜


「お腹すいたァ」



今日はサユちゃんの当番か!陰口組の料理当番じゃなくてよかった〜!さすがにこんな日に食べられないものと嫌味は聞きたくないし。

サユちゃん料理上手で美味しいご飯いっぱい作ってくれるから好きだわ!探検が今日で良かった!

明日は………げっ!嫌な奴の日か〜料理不味くはないんだけど陰口組と仲良いからご飯くれるの5割ぐらいの確率なんだよね〜


「はぁー」

『ため息つかないでくれる?ご飯が不味くなるわ!』

面倒なやつに絡まれた……

「…ごめんなさい」

『フンっ分かればいいのよ分かれば。』


今日は短く済んで良かった。長いと1時間ぐらい色々言われるから本当厄介。

これで私の事嫌ってないってみんなに言うんだから訳分かんないのよね…。まぁどうでもいいけど。

さっさと食べて早く寝よーっと


「ごちそうさま。サユちゃん美味しかったよ」

『ありがとう。』


短く言葉を交わしてから部屋に戻る。それがサユちゃんの当番の日の恒例。

昔はよく話したり一緒にお菓子作ったりしてたけど、陰口組に嫌味を言われるのもあって距離を置いている。


「ふぅ〜満足満足!体もいい感じに疲れてるし今日はよく眠れそう」


もう一方を調べるのは今日みたいな好きな子の日にしよう。もし今日より距離が長かったりしたら、苦手な子見た時表情隠せなくなるし。

そういえば…食べ物が尽きたことないけど……どこから来てるん…だろう………明日はそれ……調べて…みよう……かな


スースー








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