モノローグ



     × × ×



 十年前のある日、ひまりと初めて喧嘩した。

 なぜかわからないけれど、ひまりはすごく怒っていて、

 おれは仲直りしたくてを贈ろうと思ったんだ。


 両思いになれる赤い石——。

 学校で流行っている恋のまじない。

 家の近くの河原で赤い石を見つけて、

 それを想い人に贈れば結ばれるというジンクス。 


 おれは毎日、河原に通って石を探した。


 一〇年後も二〇年後もひまりとずっと一緒にいられますように。

 いつの日か、が叶うときがきますように。

 また、ひまりの笑顔が見れますように。


 少し欲張りなくらいに願いを込めて、

 おれは赤い石の首飾りを作った。


 ——でも、ひまりはもういなかった。

 少ししてから、ひまりが遠くへ引っ越したことを知った。

 なにも言わず、おれの前から消えた。


 最後に交わした言葉はなんだったか。

 たしか、「いつきなんて大嫌い」だったような気がする——。

 


     × × ×





<あとがき>


序章はここまで、次回から本編に入ります!

一層賑やかになる本作、今後ともお付き合いの程よろしくお願いします!


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