第15話 一番大切なのは
勉強会の帰り道。
モモとは楽しいおしゃべりをして、笑い合って。
でも……
「それじゃあスズ。またね」
「うん、またね」
いつも通りの笑顔でいつも通りビシッとポーズを決めてるモモに、私はいつも通りの笑顔で返せたかな?
家に帰りつき、部屋で一人になってから考える。ユキ先輩の家を出るちょっと前のモモの話、あれ絶対嘘じゃない。中学の時からずっと一緒にいたんだもん。分かる。断言できる。思い返してみればモモ、教室から手を引っ張られて連れ出されること多かった。そう言う事があった日にはモモは教室に戻ってこなかった。次の日休んだこともあった。モモは笑ってたし、友達多いから疑問に思わなかったけどそういうときだけモモの周りからは人が居なくなってた。つまり他の人はその人達のことを避けてたんだ。モモは人間関係が上手くできてなかった、みたいに言ってたっけ? あのモモが? 証拠は無い。私の思い過ごしかも知れない。でも、モモが嘘って言ったその言葉が嘘だって言うことには確信が持てる。
だからって私に何ができるの? 人付き合いが苦手な私に何ができるの?
モモについて考えていると、ふとモモから聞いた言葉を思い出す。
「考えを整理したいときは紙に書いたら良いんだって」
紙に書く……やってみよう。
今思っていること、思いつくことを全部書き出す。書いた後で見直してまとめてみるとこんな感じだった。
①モモは以前、人間関係でゴタゴタしていたらしい(確信あり)
②そのせいで今出会ってもマズイ人までいるらしい
③私はそれをなんとかしてあげたい
④でもどうすればいいか分からない
モモは……ずっと一人だった私に気を遣ってくれて、一人だったら知ることのなかった楽しいことをたくさん教えてくれて、困ったときはいつも助けてくれる私の一番の友達。もしモモが困ってるなら助けてあげたい。それでもし私が辛いことになってもモモを助けられるならそれでいい。今の私が一番大切に思ってるのは、
一呼吸おく。
もう一度考えてみても同じ答えだ。多分、何度考えても答えは同じだろう。
一番大切なのは、モモだ‼︎
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