第8話 密談in電話
「あら? モモから電話だわ。もしもし、どうしたの? 」
「すいませんね〜こんな時間に電話しちゃって」
「別にいいわよ。言うほど遅くもないしね。それで? どうしたの?」
「明日のユキ先輩の家での勉強会のことなんですが、私も行った方がいいですか? 行かない方がいいですか?」
「どういうこと? あなたが私の家に来たいって言ったんじゃない」
「いやそうなんですけどね……。やっぱり分からないですか」
「一体なんなのよ?」
「先輩は、妹さんも居るって言ってましたがよく考えてください。スズがユキ先輩の家に行くんですよ? 二人きりの方が良いとか無いんですか?」
「え? そっそれは……」
「だから私はこうして電話をしたわけです。どうですか?」
「いや、でも、スズと二人きりっていうのはちょっと……不安というか、なんというか、間がもたない気がする」
「あー。ありそうですね。そうなった場合ユキ先輩のことだから勉強の話始めて結局いつも通りってなるんですよね。せっかくここまで来たのにいつも通りで終わるんですよね、分かります」
「反論したくてもできないところにぐいぐい来るわね」
「あー、じゃあこういうのはどうです? 大体昼過ぎから七時ぐらいまでやる予定でしたよね。私は五時ぐらいで帰ります。そうすれば空気も気まずいところから始まるわけじゃ無いし大丈夫なんじゃ無いですか? それともずっといた方がいいですか?」
「あ、えっと、うん。じゃあそうしてもらおうかしら」
「くれぐれも勉強以外の話をしてくださいね! あとスズの過去を探るのも禁止ですからね‼︎」
「分かってるわよ。ここまでしてもらったからには頑張ってみるわ」
「じゃあ私は早引けしますね。スズには私から言っておくのでそっちはお気になさらず〜。では、失礼しますね〜」
「ええ。わざわざありがとう。また明日ね」
モモさん。そこまで気を使ってくれるなんて、なんというか私より大人っぽいというか……。でも、ここまでしてもらったんだから頑張らないとね! ……あら? 頑張るって、私はどうしたいのかしら? 明日は勉強会であって遊ぶために集まるわけじゃ無いし……。それなのに勉強以外の話をするの⁉︎ そもそもなんで二人きりになりたいと思ったのかしら? いけない!なんだか緊張してきたわ。部屋片付けとかないと‼︎
明日のことが楽しみで、でも緊張も大きくて、自分の気持ちがよく分からない……。
その日はなかなか眠れませんでした。
はぁ。
なんで私はユキ先輩にあんなこといちゃったんだろう? スズは誰にも渡したく無いのに……。まぁ、スズがいろんな人と仲良くなってくれるのは嬉しいんだけど仲良くなりすぎるのは嫌っていうか私の知らないスズが増えていくのが嫌っていうか……あーもうっ!
はぁ。今日はため息がよく出るなぁ。
なんだか、自分で自分が嫌になってきました。イスに座ったまま、後ろにもたれて顔だけ上を向く。カーテンの隙間から除く夜空には沢山の星。その星々は高い音で鳴る鈴のように瞬いて。その中にある二等辺三角形みたいな形に見える三つの星が目にとまりました。
「アレが私達ならいちばん離れたところにいるのがユキ先輩だと思ってたのに。明日には、私と先輩の位置は入れ替わっちゃうのかなぁ?」
他の誰でもない私のせいで……。
せめて正三角形に……は、ならないんだろうなぁ……。
はぁ〜。
明日はこんな顔できないし、もう寝よっ、おやすみっ。
布団に潜るしかできない私は一体どうすればいいんだろう?
その日はなかなか眠れませんでした。
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