第9ー17話 誰かのために強くなる

天上界全域で起きている大事件は各勢力の未来に直結していた。



ゼウスの天王派として戦うか、虎白の反乱派として戦うのか。



北のアルデンとスレッジ、パーシーは虎白と運命を共にするために白陸攻略に乗り出そうと動き出した大英帝国を主力とした諸国と戦っている。



東のグラントとカルロは開戦当初から虎白の側についていた。



白陸や北方に多数の援軍を派遣していた。



そして南側領土では先日ウィルシュタインが新たに領主となった際に虎白からの「最終通告」を受け取った事で目立った動きはなかった。



だが問題なのは白陸国内で反乱が起きていた事にあった。



周辺国が傍観を続ける中、国内では白陸軍に入隊して間もない新兵達が基地を占拠して宮衛党や宰相達の城を攻撃していた。



そして時は少し戻り、この場に残っている戦力は宮衛党1万と宰相サラの僅かな兵士だけだった。



まだ日本神族が出現していない状況において、大混乱となる国内を新兵達は制圧しようと動いていた。



広大な領土と訓練された部隊を有する宮衛党は善戦していたが、帝都で白陸全軍の指揮管理をしていたサラはあっという間に反乱軍によって包囲された。





「ヨユーでヤバいねうんうん・・・」





虎白の本城へと殺到する反乱軍を窓から見下ろして困っているサラは副官であるハムスターの半獣族のテポを胸の谷間に入れると拳銃を腰に装備して部屋を出た。



殺到する反乱軍から逃げ切れなくては交渉材料にされてしまうのは明白だった。



宰相サラを捕まえれば虎白は解放のために不利な条件だって飲むかもしれない。



サラはそう考えると直ぐに脱出を図った。



ほんの数十分前まで恋華や紅葉と白王隊がいたというのに。





「ねーサラーどうするー?」

「逃げ切れないじゃん・・・うんうん・・・」




困った表情の中でサラは携帯電話を取り出すと何を思ったのか突如ライブ配信を始めた。



「絶体絶命!!!!」というタイトルのライブ配信はあっという間に視聴者で溢れた。



本城の薄暗い廊下を自撮りしながら歩いているサラを視聴者達は見ているが画面からでも聞こえてくる爆発音と怒号に心配のコメントが相次いだ。





「いやいやこんな時だから配信するのよ!! うんうん・・・少しは気が楽になるし・・・みんな脱出方法を考えて!! うんうん・・・」





城を包囲されてそこら中から怒号がするこの状況でサラは怯えていた。



脱出するために足早に廊下を進んでいると前方から武装した反乱軍が走ってきた。



「宰相サラだ!!」と1人が叫ぶと一斉に衝撃信管弾が放たれた。



反乱軍の狙いはサラの捕獲だった。



サラは近くの扉を蹴破って中庭に飛び出すと、全速力で走って別の廊下を更に進んだ。




配信のコメントが殺到する中でサラが見たコメントは「避難前に近くで宮衛党が戦っていた・・・」という内容だった。





「ワーオッ!! 名案じゃん!! うんうん・・・宮衛党へ逃げるのが最善よねー。」




サラは宮衛党に合流するために本城脱出を開始した。



次第に反乱軍が集まってきて、周囲を警戒していた。



「宰相サラがどこかに隠れている」と情報が広まるとライブ配信のコメントからサラの居場所を反乱軍に伝える者が現れては激しい言い合いが始まっていた。





「裏切り者じゃん・・・絶対アカウント凍結させてやるから覚悟しとけし!! うんうん・・・」





怒るサラに迫る反乱軍は銃撃を続けていた。



拳銃で応戦する中でもテポはサラの谷間に挟まって隠れていた。



訓練不十分の新兵とかつてイギリスの諜報機関にいたサラとでは戦闘能力にかなりの差があった。



しかし人数に勝る反乱軍は徐々にサラに迫っていた。



やがて拳銃の弾薬を撃ち尽くすと、一目散に走り始めた。



衝撃信管弾が足に被弾すると酷く痙攣して動かなくなった。





「サラちゃんねるも今日で終わりっぽい・・・ご視聴ありがとうございました・・・うんうん・・・」





捕まってしまうと覚悟を決めたサラはライブ配信を終了しようとしていた。



麻痺して動かなくなった細い足をさすりながら表情を歪めている中でテポが谷間から出てくると小さい体で一生懸命、サラの足をさすっていた。



反乱軍は既に目の前にまで来ていた。



だがそんな時だった。





「おらあああ!!!!!!」





反乱軍が多数吹き飛ぶと猛獣の怒鳴り声と共に青年の声が響いた。



「叔母上はいますか!?」と2本の刀で銃撃を弾きながらサラを探している。



やがて座り込んで動けないサラを見つけると駆け寄ってきた。



2本の刀を鞘に戻すと軽々とお姫様抱っこして歩き始めた。






「は、白斗!!」

「叔母上無事でしたか・・・よかったあ・・・恋華叔母上達が出陣したと聞いたので。」

「ありがとう・・・もうダメかと思ったよ・・・うんうん・・・」





白斗と宮衛党が駆けつけた。



周囲で反乱軍を圧倒している半獣族達はウランヌの精鋭部隊である陸戦歩兵強襲隊だ。



全兵士が猛獣で編成されている彼らの戦闘能力は凄まじく、訓練不十分の反乱軍では刃が立たなかった。





「これだからいいんです叔母上。」

「なになに? うんうん。」

「半獣族は裏切らないからいいんですよ!」





一度主だと信じた者を何があっても裏切らない半獣族達の純粋な気持ちはこんな時に頼りになる。



優奈とその家族を守るために宮衛党は奮戦していた。



白斗が部隊を率いて帝都に乗り込む事ができたのも彼らが揺るがぬ思いで戦っていたからだった。



突然の強襲に混乱する反乱軍は一目散に逃げていった。



サラを抱えたまま、宮衛党に戻った。




















白斗がサラ救出に向かっている間も反乱軍は宮衛党への攻撃を続けていた。



実弾での激しい銃撃戦の中でも半獣族特有の動体視力を磨いた彼らは被弾する事すらなかった。



メリッサの指揮の元で防衛戦を有利に進めている。



半獣族の高い身体能力にメリッサの巧妙な戦術が兼ね備えられるとまさに無敵だった。





「おーし。 そろそろ投石攻撃行こうぜーい!!」





メリッサが近くにいるゴリラの半獣族達に指示を出すと、人間ではとても持てないであろう巨大な石をドッジボールでもするかの様に軽々と城壁の上から投げ始めた。



投石を受けた反乱軍は顔ごと吹き飛んでいく。



宮衛党ならではの一つだけしかない城への入り口は非常に守りに適していた。



城門を固めるのは象やサイの半獣族だ。



彼らはメルキータお気に入りの重装歩兵だ。





「へスタ、アスタ!!」

『はいっ!! それ突撃!!』





メリッサが姉妹にうなずくと城壁の上で姿勢を低くしていた軽歩兵奇襲隊が城壁の上から一斉に飛び降りた。



華麗に着地すると投石で混乱する反乱軍の中に入り込んでは暴れていた。



各兵士が数人ほど倒すと城壁を駆け上ってメリッサの元まで戻ってきた。



時間にして3分ほどだ。



だがこの3分の間に反乱軍は多数の者が首に噛みつかれて倒れていた。



長時間の戦闘は不向きだが短時間での奇襲に特化しているへスタ、アスタ姉妹の軽歩兵奇襲隊をメリッサは完璧に扱っていた。





「た、退却だー!!!!」




完璧なまでに防ぎきった宮衛党は歓喜していた。



そしてしばらくすると白斗が悠々と戻ってきた。



サラの手当をシーナが行っている。



このシーナはメルキータの妹にしてロキータの姉であるニキータに好かれていた。



暇さえあればシーナに会いに行っていたニキータは偶然宮衛党にシーナを招待していた。



そのおかげでシーナも捕獲されずに済んだ。



白斗は満足げに笑っていた。



メリッサとハイタッチをしては机の上にある白陸国内の地図を見ていた。





「俺達1万でこの広さは取り返せないな。」

「叔父さん達に頼もうよ!!」

「いい考えだな。 でも俺の頼みなんて聞いてくれるかなあ・・・」






反乱軍に制圧された白陸の主要都市を取り戻すためには秦国や孫呉といった強国の援軍が必要だった。



白陸主力軍はまさに天上門でオリュンポス軍と戦っている。



宰相もサラ以外は全て前線にいる。



宮衛党以外の戦力は既に存在していなかった。



白斗は無線機をじっと見つめていた。





「叔父上・・・」





先日の北方遠征の際に一斉発起された連合軍の撃退で共に戦ったが、降伏した連合軍の将軍達を焼き殺そうとした一件で嬴政や孫策からは強い不信感を抱かれていた。



援軍要請を頼めずに眉間にシワを寄せている白斗はメリッサに「か、代わりに・・・」と小さい声で話した。



だがメリッサは静かに首を振っていた。





「今の白陸では白斗が一番でしょ。 サラ叔母さんだって怪我しているんだよ。」

「た、確かに・・・そうだよな。 今は俺達の白陸の危機だものな。 ちゃんと謝れば助けてくれるよな・・・」






白斗は無線機に手を伸ばした。




























玉座に座る嬴政の元へ文官が走ってきた。



「白陸からの援軍要請です」と青ざめた表情で話す文官を見もせずに歩いていくと王宮から遠くを見ていた。



煙が立ち込めて微かに怒号も聞こえてくる。



嬴政は髭を触りながら金色の着物を風になびかせていた。





「白斗の窮地か。」

「は、はは陛下・・・」





玉座の前に広がる木の床に広がるのは巨大な地図だ。



そしてそこには「ギリシア軍侵攻図」と書かれていた。



嬴政と孫策は西から総掛かりで攻め込んできているアレクサンドロスの西軍と交戦していた。



征服王アレクサンドロスが率いる西軍は今までとはまるで別の軍隊と化していた。



一つになったギリシア軍は破竹の勢いで進んでいた。



嬴政の王都咸陽(かんよう)にまで辿り着く勢いだった。






「こちらも手一杯だな。」

「断りますか?」

「いいや。 他の手段を考えよう。」





すると玉座の裏に隠していた地図を持ってくると指を指していた。



そこには「大モンゴル帝国」と書かれていた。



チンギス・ハーン率いるモンゴル帝国は長年沈黙を続けていた。



だがそれは虎白からの指示だった。



強力な兵を有し、大兵を抱えるモンゴル帝国は虎白の切り札として世間からの認知度をあえて下げさせていた。



そして彼らもまた神族の軍隊を有する特別な国家だった。



蒼き狼の神族を有していた。



嬴政は無線機を取るとチンギス・ハーンへ白陸救援の話を始めた。





「虎白すまんな。 切り札を今使わせてもらうぞ。 お前の息子を救うためだ。 許せ。」






西軍の大進撃をたった2カ国で食い止めている嬴政と孫策だったが、戦況は決して優勢とは言えなかった。



大軍勢を率いているアレクサンドロスの采配が見事な上に世界最強の戦士の呼び声高いあのスパルタ軍が3万もの大兵で先鋒を務めていた。



孫呉軍も秦軍もスパルタ軍を前に劣勢だった。



白陸救援に割く戦力はなかった。



嬴政はチンギス・ハーンとの会話を終えると更に別の者へ話を始めた。





「そういう事だ。 すまないが西軍を食い止めるために力を貸してくれ。 織田信長。」





無線機を置くと嬴政は王宮に集結する部隊を率いて自ら宝剣を持って咸陽を出陣した。






























白斗の耳に入った情報は「直ぐに助けが行くはずだ」とだけ伝えられていた。



規模も部隊編成も聞かされなかった白斗は困惑していた。



宮衛党は再編成が整い、ウランヌ達指揮官が白斗の指示を待っていた。



すると白斗はメリッサの横に近づくと小声で話しを始めた。





「まずどこから解放すればいい?」

「そりゃ帝都でしょー。 シーナの国立病院もあるしー。」

「そうかわかった。 次は?」

「帝都に隣接している街じゃない?」





安堵した様にうなずいた白斗は宮衛党の前に立つと刀を抜いた。



そして空に突き上げると息を大きく吸って「皆の者!!」と声を上げた。



宮衛党の兵士達は白斗を見ていたが本人は酷く緊張していた。





「こ、これから帝都へ進軍して反乱軍を撃退する!! 我々の大切な者を守るんだ!! 進撃開始!! ウランヌ進め!!」





先鋒のウランヌの部隊が進むとシフォン、ルメーの本軍が続いた。



1万からなる宮衛党は帝都奪還のために白斗を中心とした「解放軍」となった。



英雄鞍馬虎白の実の息子である若き青年は自分に出来ることを必死に行ったが、その裏で目立つことなく夫を支えるメリッサの活躍があっての事だった。



馬の半獣族にまたがり、凛々しい表情で進む白斗の隣で冷静な表情で追従する良妻は帝都解放のために夫を支えた。



やがて帝都付近へ進むと大勢の反乱軍が武装して対峙していた。



すると白斗は刀を2本抜くと宮衛党最前列にまで出た。



隣ではウランヌが一礼して白斗を見ていた。




「反乱軍!! 降伏すれば悪い様にはしない!! 無駄な争いを止めて降伏をしろ!!」




白斗は降伏勧告をした。



それは先日の西軍将校を焼き殺そうとした失敗から学んだ行動だった。



宮衛党1万の大将である白斗は冷静な表情で反乱軍を見ていた。



そして降伏勧告を進める一方で小声でウランヌに話しかけていた。






「へスタとアスタの部隊を周囲の建物に潜伏させろ。 俺が合図したら奇襲するんだ。」

「わかりました殿下。 勧告を続けてください。」

「ああ。 時間を稼ぐ。」





白い大鎧に身を包む白斗は白王隊に良く似た姿をしていた。



だが人間である事は誰が見てもわかる。



人間で白王隊に似た姿をしている男は白陸に1人しかいない。



皇太子白斗のみだった。



それは新兵訓練を受けた反乱軍ならわかる事だった。



銃を構えて白斗を狙う反乱軍は降伏をするつもりはなかった。





「混乱しているのは理解しよう。 突如反逆者にされたんだ。 俺だって混乱している・・・だがお前達は白陸兵だろ!! 我が父を信じてはくれないか!?」





今にも撃ってきそうな状況においても白斗は懸命に説得していた。



背後では兵士達が盾を構えて銃撃に備えていた。



ウランヌが小さい声で「配置完了」とつぶやくと「これが最終警告だ!!」と叫んだ。



すると反乱軍の1人が白斗に向かって銃弾を放った。



刀を素早く抜くといとも簡単に弾き返して「今だ!!」と叫んだ。



反乱軍の左右で廃墟と化していた建物から突如として飛びかかってくる軽歩兵奇襲隊に混乱している間にウランヌの陸戦歩兵強襲隊が正面から襲いかかった。





「抵抗する兵士は殺して構わない!! 降伏する者は無力化しろ!!」





そして白斗も2本の刀を抜いて戦闘に参加した。



若き皇太子の剣技は新兵訓練を終えたばかりの反乱軍では到底太刀打ちできなかった。



あっという間に数人斬り捨てるとウランヌを連れて敵陣奥深くまで進んだ。





「お見事ですね殿下。」

「今の俺じゃダメなんだ。 もっと強く賢くならないと大切な誰かを失ってしまう。」

「殿下・・・」

「誰かのためって思えば俺はもっと成長できる。 きっと父上に似たんだ。」



虎白の強さはいつだって「誰かのため」だった。



優奈を守る。



竹子と共に生きていたい。



部下を失いたくない。



国民が平和に暮らせる世の中を作りたい。



自分のために虎白は強くなった事は一度もなかった。



若き皇太子にも確かにその血が流れていた。



嬉しそうに微笑むウランヌは白斗の背後を守り続けていた。





「立派ですね殿下。」

「そんな事ないさ・・・お前らがいてくれたからな。」

「虎白様に似てきましたね。」

「ひひっ!!」





宮衛党の破壊力に戦意喪失する反乱軍は更に退却を開始した。



だがどこまでも追いかけてくる白斗を前に遂には降伏する者が現れ始めた。



すると宮衛党の兵士に衝撃信管弾を装備させて壁に向かって横一列に並ばせた。





「降伏は認めてやるさ。 でも一歩間違えればお前ら・・・全員死んでいたんだぞ!! これは戒めだ!! 撃てっ!!」



まるで処刑でもされる様な光景だった。



壁に並んで立っている反乱軍の捕虜達は抵抗しない様に衝撃信管弾で気絶させられた。



気を失う前に彼らが見た光景は処刑される自分の姿だろう。



白斗は「恐怖」という教訓を反乱軍に植え付けていった。



これは彼の危険な一面だったが、虎白にも似た様な面がある。



赤軍の大部分を粉砕して最高指導者をユーリの手で殺させた。



これは赤軍を白陸へ抱き込むためでもあり、ユーリを新たな最高指導者にするために行った事だった。



抵抗しても無駄だと理解させるほどに完全粉砕してからの出来事だ。





「気絶した者達を運んで手当しろ。 そして戦いが終わるまで牢屋に入れておけ。 ウランヌ次を解放しに行くぞ!!」

「・・・・・・わかりました。」





勢いに乗った白斗は更に進撃を続けて気がつけば帝都を解放して周囲の街へ出ていた。



だが問題はここからだった。



この先の都市には宰相達の新兵が反乱軍となっていた。



帝都で戦っていた反乱軍は基礎訓練を終えて宰相の領土へ派遣される前の者達だった。



最初に向かった街は第1都市だ。



それは丞相にして白陸の幹部筆頭である竹子の兵士達だ。



白陸軍第1軍といえば「無敵の中央軍」と呼ばれる守備力の高い部隊だ。



予備戦力の新兵と言えど第1軍には変わりなかった。



盾兵が城壁の様に横一列に並んでいた。



そして次の瞬間には一斉に盾兵の横が光った。



同時に発砲音が響き渡り、宮衛党の兵士が撃ち抜かれた。



屈強な肉体の半獣族は命こそ落とさなかったが負傷者が多数出て後退していった。





「さすが竹子叔母上の兵士だ・・・予備軍とはいえしっかり第1軍の戦い方をできているのか。」

「殿下ここは一度下がりましょう。」

「そうだな・・・」




だがそんな時だった。



一頭の早馬が白斗の前に現れた。



白陸とは異なる鎧に青い布が施されている。



兜には毛皮がまとわれている騎兵は白斗を見て口を開いた。





「白斗様ですか!?」

「そうだ。」

「ハーンから言付けです。 第1都市、第2都市の解放に集中しろと。 残る都市は大モンゴル帝国に任せろとの事です。」

「ち、チンギス叔父上か!?」




驚く白斗はウランヌの顔を見ていた。



静かにうなずいたウランヌは「虎白様の切り札ですよ」と微笑んでいた。



白斗自身もチンギス・ハーンには会った事もなかった。



しばらく驚いていたが口角を上げると目の前に広がる第1軍の予備兵を睨んでいた。





「ウランヌ。 行こう。 父上や叔母上が創った白陸を守ろう!!」





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