第9ー10話 神話と宰相

オリュンポス12神とはゼウスを筆頭に天上界をまとめる最高権力者だ。



そのうちハデスと妻のペルセポネは冥府に存在している。



今は10柱の神々が主に天上界を支配していた。



ゼウスと妻のヘラ。



ポセイドンにアテナとアレス。



そしてアルテミス。



デメテルにヘパイストス。



ヘルメスとアフロディーテ。



それらは「神話」という天上界でも最高位の位を持っている。



竹子と虎白の前に立っているのは戦神アテナ。



戦略の神と言われるが、自身の戦闘能力も凄まじかった。





「はあ・・・強いな。」

「はあ・・・はあ・・・私は甲斐となんとかするから先へ進んで。 ゼウスを倒さないと勝てないもの・・・」

「こんな化け物相手にか? 俺も残るよ。」






竹子の鋭い斬撃を簡単に受け止めて、虎白の縦陣すらも回避してしまう。



そんな相手を前にして虎白はこの場所を離れる事を躊躇していた。



だが神話は他にもいる。



ここで竹子と共に戦っていても他の宰相が襲われてしまう。



覚悟を決めるしかなかった。



刀を握って黙り込む虎白に近づくと竹子は突然キスをした。



驚いた虎白は目を見開いている。



すると赤面して微笑んでいた。





「虎白が天王になるの。 そして天王の妻である私達が神話を倒せない様じゃ情けないでしょ。 私達を信じて。」





竹子の固い決意は揺るがなかった。



背後から「あたいに任せなー!!」と高らかに笑いながら甲斐が近づいてきた。



白神隊と進覇隊も共にある。



虎白は静かにうなずいたが隣にいる莉久を見た。





「お前はここに残れ。」

「御意。 メアリーの事は僕も信じます。 彼女なら上手くやってくれます。」

「ああ。 竹子と甲斐を援護しろ。」





莉久と莉久隊の兵士を残して虎白は王都へと向かった。



ハデスはその間も共に行動している。



冥府軍は白陸軍と共にオリュンポス軍と戦っていた。



世界が完全に割れている。



今や虎白は天上界の逆賊。



世界の大半が敵対していた。



状況を変えるには勝利するしかなかった。





「もう後戻りはできねえな。」

「必ず弟達を殺すぞ。 それしかない。 何よりも鞍馬。 そなたが一番殺したいはずだ。」

「ああ? お前より?」

「そうだ・・・」






ハデスは浮かない表情だった。



勝利した時に話す内容が気になって仕方がない。



一体何があったのか。



天上大内乱でガイアが虎白に言いかけた言葉。



世界の秘密。



ハデスも知っているのか。



虎白は走りながら考えていた。





「マジでこの世界はどうなってんだよ・・・桜火と石版について調べてるけどよ。 関係してんのかな・・・スカーレットや魔呂に宿る戦神もよくわからねえし・・・」





わからない事があまりに多かった。



それを知るためにもゼウスの元へ行くしかなかった。



虎白を殺そうとした事にも意味があるはずだ。



ハデスと白王隊と共に王都へ向かっている途中にそれは現れた。



爆音と共に目の前に現れた存在は金色の鎧に身をまとっている。






「しゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」






ジェット機の音よりも大きな咆哮は狐達の耳を麻痺させた。



一斉に耳を塞いでその場に膝をつく中でハデスはじっと見ていた。



「現れたか」と眉間にシワを寄せて鎌を構えている。




「これはこれは叔父上。」

「アレスか。」

「父上の元へは行かせませんぞ。」

「鞍馬。 やるしかなさそうだな。」





金色の鎧兜に金色の剣を持っている。



天上界でも恐らく最強の存在であろう。



戦神アレスだ。



彼はアテナの様な戦略の神ではない。



純粋な武力の神だ。



考える事は苦手だが戦う事は誰よりも得意だった。



虎白は刀を抜いて直ぐに斬りかかった。






「めんどくせえ。 雷電行くぞ!!」

「御意!」





虎白の速い斬撃を盾で受け止めると盾を力強く振り抜いた。



あまりの豪腕に虎白は吹き飛んで近くにあった建物に叩きつけられた。



建物は崩れ落ちて虎白を下敷きにした。



白王隊が慌てて瓦礫をどかそうとしていた。





「慌てるな狐共。」






ハデスは第八感で瓦礫を持ち上げていた。



万物に触れる能力は瓦礫が虎白を潰す前に空中で静止させていた。



虎白が瓦礫から飛び出すと静止していた瓦礫が一斉に地面に落ちた。





「悪いな。」

「先を急ぐぞ鞍馬。」

「雷電だけでは危険だからこいつは俺らで倒すぞ。」

「虎白様。 お気になさらず。 先を急がれよ。」






雷電は刀を構えて落ち着いていた。



皇国最強の剣と天上界最強の戦神。



しかしアレスの強さは雷電すらも苦戦する相手だった。



雷電の時空を操る能力もアレスの神通力の前には効果がさほど出なかった。



両者の神通力にほとんど差がないからだ。



アレスは剣を振り抜いた。



雷電は受け流して刀を向けようとしたが驚く速さで盾が雷電の顔を強打した。



「ぐふぁっ」と鈍い音と共に声を出して片膝をついた。



間髪を入れずアレスは剣を真横に振り抜いた。



しかし雷電も刀で受け止めたがあまりの力に刀ごと吹き飛んだ。






「我が生涯で最強の敵なり。 討ち死に上等。 一蓮托生なり。 ただでは死なぬ。」





雷電は虎白に一礼するとハデスに掴まれて走り去る主の後ろ姿を見て微笑んだ。



虎白に続く愛妻である染夜風を見て「君が妻でよかった」と一礼した。



最強の剣はここが死に場所と感じていた。



目の前にいるのは無敵のアレスだ。






「悔いなし。 戦場で強敵と死するは武士の誉れよ。 不惜身命。」





雷電は立ち上がり第七感で一気に距離を縮めるとアレスの盾を掴んで振り払った。



しかし剣で斬り返され、腹部から白い血が流れた。



「まだまだ」と口角を上げる雷電は空中に舞うと体を丸めて高速回転してアレス目掛けて落ちた。



剣で受け止めたアレスだったがその鋭い斬撃を受けきれず肩に雷電の刀が刺さった。






「あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

「さあ。 続けようか。」







互いの体から流れる純白の血。



アレスの顔は笑っている。



久しく出会わない強者との戦いを楽しんでいた。



アレスは盾を構えると雷電の斬り込みを待っていた。





「縦陣、時空郷(じくうきょう)」





これは雷電にしか出来ない大技だ。



体を縦回転させながら第八感を解き放ち、時空の歪みを発生させながら斬り込む。



まず見切れる者はいない。



アレスは盾を構えて睨んでいる。



そして腹の底から叫んだ。





「粉砕戦神(ふんさいせんしん)!!」





盾と刀が交わった瞬間、爆風の様に周囲の瓦礫が舞い上がった。



互いに雄叫びを上げる中、どちらの攻撃が勝るのかわからずお互いは神通力の全てを出し切っていた。



だが次の瞬間には雷電は地面に叩きつけられた。



アレスの粉砕戦神が僅かに勝っていた。



神通力が拮抗する両者では雷電の時空郷は意味をなさなかった。



吐血して白目を向ける雷電に猶予すら与えず、剣を振り抜いた。



しかしアレスの剣は雷電の首を切断できなかった。





「やるな。 雷電を倒すのか。」

「誰だ汝は?」






アレスの剣を受け止めてなおも平然としている。



そしてダブルブレードを回転させてアレスと距離を取ると口角を上げていた。



仁王立ちするかの様に堂々と立っている。





「我が名はウィルシュタイン。 戦神だぞ。」

「笑わせるな犬の半獣族が。」





鼻で笑ったアレスは周囲に転がる大きな瓦礫の山からじっとたたずむ人影に気がついた。



「あははー」と高い声で笑っている。



瞳は血の様に赤く染まっている。



小さな体には長すぎる刀を背中に背負っているが、ゆっくりと鞘から抜いてみせた。





「あらー。 強いのねー。 あははー。 楽しめそうねー。」

「魔呂か。 貴様忘れぬぞ!!」

「あははー。 私は興味ないわー。 虎白しか男には興味ないのよー。」






ウィルシュタインに向かって左側に魔呂が現れた。



アレスは2人を睨みつけて威嚇しているが余裕の表情で笑う戦神達。



すると遠くから高笑いが聞こえる。



アレスが空を見上げると太陽神が照らす日光から何かが落ちてきた。



「ふんっ!!」と剣で落ちてくる者を受け止めたがなおも高笑いをしている。





「キャハハハッ!! ベルカよー? 覚えてないなんて言わせないよ?」

「何だと!?」

「ねえ血を見せてよねえ!! 見せてくれないなら自分で見るからいいけどねー!! キャハハハハッ!!!!」





ウィルシュタインに向かって右側から飛び込んできたスカーレットの体に宿る戦神ベルカはアレスへ斬りかかった。



白陸が誇る戦神が集結した瞬間だった。



雷電は体の治癒を急いでいた。





「か、かたじけない・・・」

「あの雷電をここまで追い詰めるなんて大した戦神だなこいつ。」

「あははー。 本当に楽しめそうねー。」

「キャハハッ!! だから殺しがいがあるんだってー!!!!」

「そのとおりだ。 さあやるぞ!」






ウィルシュタインと魔呂とスカーレットは一斉にアレスへ斬りかかった。
























白陸軍は大きく分けて3手に分かれていた。



竹子の中央軍は現在オリュンポス軍と交戦中で冥府軍も白陸軍と共闘している。



戦神アテナは竹子と甲斐と莉久と戦闘中。



そして左翼軍はオリュンポス軍を中央軍と挟撃するために移動していた。



指揮官は宰相夜叉子とメアリーだ。





「それにしても驚くね。」

「ええ。 きっと兄上も北で戦っています。」

「負ければみんな死ぬね。」





夜叉子が進んでいる道は平坦な道だった。



中間地点という異なる天候の中で夜叉子とメアリーは挟撃の機会を伺っていた。



獣王隊と第4軍が進む中でそれは起きた。



先頭を進む白陸兵が突如消えた。



驚いた獣王隊が様子を見に進むと巨大な落とし穴にはまっていた。



一瞬にして何百人もの白陸兵が戦死する光景に唖然としていると獣王隊の頭上に燃える投石と火矢の雨が降った。





「後退しなっ。」





夜叉子が煙管を投げ捨てて言い放つと一斉に白陸軍は後退した。



しかし背後から轟音が聞こえて夜叉子が振り返ると冥府軍が騎馬突撃を始めていた。



味方のはずだが何故襲いかかってきているのか。



眉間にシワを寄せて扇子を取り出すと扇ぎ始めた。





「ちっ。 罠だね。 冥府軍は何しているんだい。」





すると獣王隊に捕らえられた冥府の将軍が夜叉子の前に連れてこられた。



手足を縛られて投げ捨てる様に目の前に叩き出された将軍は悲鳴にも聞こえるほど叫びながら「これは罠だ!!」と訴えている。



夜叉子は扇子で扇ぎながら冷静に見ていた。






「連中は私の直轄ではない!!」

「へえ。 どう信じろっていうの?」

「ああ。 我が騎兵を見てみろ。 馬の首元に66という数字が刻まれている。 私は冥府軍第66師団の将軍で兵達には刻印を入れさせてある。」




隣に立つ副官のタイロンに目で合図させると双眼鏡を取り出して夜叉子に渡した。



すると背後から白陸軍へ襲いかかる冥府軍には66という数字はなかった。



だが突然の出来事に混乱する冥府軍と白陸軍は同士討ちを始めていた。



つい数時間前まで戦っていた双方の信頼関係は皆無だった。



騎馬突撃をしている部隊の人数は少ないが離間の計を発動するには十分だった。



離間の計とは調略で協力関係を崩壊させる戦術だ。



夜叉子は将軍を解放して「止めてきな」と走らせた。



するとメアリーも剣を抜いて「行ってきます」と白陸軍を止めるためにメアリー騎士団と共に馬を駆けさせた。





「それにしても。 随分と上手くハメられたね。 私が来る事を知っていたんだね。」






夜叉子の奇襲を予感して前もって罠を張り巡らせている。



まるで狩人の様な狡猾な戦術にはまった夜叉子は損害が大きくなる前に脱出する方法を考えていた。



前方にはさらなる罠があるはず。



後方では白陸軍と冥府軍が同士討ちをしている。




「ふっ。 久しぶりに賢い相手だね。」

「お頭!! どうしますか!?」

「下がるよ。 冥府軍を落ち着かせるしかないね。」





夜叉子は遠くで硝煙を上げる冥府軍と白陸軍を見て大きなため息をついた。


































そして右翼軍はレミテリシアの正覇隊と第6軍にアニャのベリー騎士団と呂玲にエヴァとユーリが率いるナイツまで存在していた。



この重戦力は冥府軍を側面から攻撃する予定で配備されていた。


冥府軍にはナイツと呂玲の存在は知らされていなかった。



だが状況が変わった事でレミテリシアは反撃の準備をしていた。





「後方の冥府軍は到着したか?」

「ああ! わらわにできる事は?」





先日の戦い以来レミテリシアと行動を共にしているアニャは副官のハミルと共に軍団に加わっていた。



レミテリシアはオリュンポス軍を左翼軍同様に挟撃するつもりだった。



だがここには少数で隠密行動に特化しているナイツがいる。



レミテリシアはナイツをどう動かすか考えていた。





「エヴァ。」

「はーん?」

「どうしたい?」

「まあうちらに乱戦とかは期待しないでよー。」





少数で動きたがるエヴァを見ながらどこへ向かわせるべきなのか考えていた。



オリュンポス軍と戦う兵力は足りている。



それならナイツまで乱戦に駆り出す理由はない。



そしてエヴァとユーリの戦闘能力ならあるいは。



レミテリシアは椅子から立ち上がるとエヴァとユーリを見て言い放った。





「虎白が王都へ向かっているはずだ。 それを邪魔する神話を暗殺してくるのはどうだ?」

「だってーユーリどうする?」

「ああ。 なんでもぶっ殺してやるよ。」

「じゃあ決まりー。」





まるで獣の様に鋭い目つきで装備をつけるユーリに怯えながらアニャは近づいてきた。



アニャに気がついたユーリはじっと見ていた。



「あん?」とぶっきらぼうに声を出すとアニャは言葉に詰まっていた。



アニャはローズベリーの皇女でユーリは赤軍の司令官だった。



確執となる2人が対峙していると場の空気は静まり返った。



アニャの副官のハミルも冷や汗をかいて黙っている。



するとアニャは手を出して微笑んだ。





「気をつけてな。」

「おお。」

「わらわとそなたはもう家族だよね?」

「まだ何とも言えねえよ。 家族ってのは絆があるからそう呼べる。 まだ絆なんてねえよ。」





愛想悪く返すユーリに下を向くアニャは何とも悲しそうな表情だった。



見かねたハミルがアニャの隣に来て今にもユーリに何か言いそうだった。



ヘルメットを被って顔を隠したユーリはライフルを持ってからもう一度アニャを見た。





「てめえにとっての家族って浅えな。 同じ組織に属すれば家族かよ。 絆もねえのに。」

「ちょ、ちょっと!! いくらなんでも言いすぎじゃないですか!!」





ハミルも我慢できず声を上げていた。



しかしユーリは気にする様子もなくゾフィやゾフィアとロシア語で何か話している。



ハミルがじっと睨んでいると「何見てんだよ?」とユーリは乱暴な口調で睨みつけた。





「てめえ文句あるのか?」

「どうして笑顔で家族だって言わないんですか?」

「家族じゃねえからだよ。 私はそんな軽い家族になんかなりたくねえよ。 一緒にこの死闘を生き延びて勝利して、改めて家族になりてえんだよ。」






ユーリの言葉に驚いたハミルは何も返せずにいた。



アニャはボロボロと涙を溢してユーリの腕を掴んだ。



「ああん?」とアニャの手を見つめるユーリは振りほどこうと腕を振っていたが放さなかった。



「放せよ」と眉間にシワを寄せているとアニャは泣きながら大きな声で「ありがとう」と叫んだ。






「家族ってのはいいもんだからさ。」

「うう・・・ユーリ。 必ず生き残ろうな!!」

「全員ぶっ殺してやるわ。」





そして改めてアニャとユーリは握手をしていた。



ハミルはその光景を泣きながら笑って見ていた。



「頑張りましょうね」とハミルは拍手しながら自分の装備をつけに向かった。



そこはベリー騎士団が数名いるテントだった。



馬に食事を与えて武器と医薬品の状態を見ている。



女医達は医薬品を馬に持たせて戦う。





「よし。 いい感じだね。 ふう。 これからどうなるんだろう・・・」

「君はアニャかな?」

「ええ!?」






テントの中で突然聞こえた声に驚いたハミルは腰の剣に手を当てていた。



暗くなっているテントの奥から聞こえる男性の声は明らかにベリー騎士団ではない。



だがここには複数の部隊が存在している。



近くには呂玲の部隊がいる。



ハミルは「どなたですか?」と不思議そうにしていた。





「ローズベリーの皇女ではないのか?」

「・・・白陸軍でアニャの顔がわからないわけない・・・敵襲っ・・・!?」






全身に寒気がして力が抜けていくのを感じた。



ハミルが前を向いてみると目の前には2メートルはあるだろう男が剣をハミルの腹部に突き刺していた。



そして手でハミルの顎を掴んで顔をじっと見ていた。





「ああ。 確か赤髪だったか。 すまない人違いだ。 人間とは同じ顔をしていて見分けがつかぬな。」






倒れ込むハミルを見る事もせずにテントの中にある椅子に座って懐にしまっていたアニャやレミテリシアの写真を見ていた。



「赤髪がアニャで黒髪がレミテリシアか」とぶつぶつと話している。



倒れるハミルの体に足を乗せている。



まるで足置きの様に。




「だ、誰だ・・・」

「ヘルメスだ。 茶髪は宰相サラか。 おい人間。 名前は?」

「は、ハミル・・・」

「誰だ貴様。 ただの兵士だったか・・・」





伝令の神ヘルメスは天上界中を高速で移動できた。



そして誰に気づかれる事もなくレミテリシアの陣に入ってくると暗殺を始めたが誤って宰相ではないハミルを刺した。



だがまるで気にしている様子もなかった。



人間なんて皆下等種族と言わんばかりに大量の血を流して倒れるハミルの細い体に足を置いていた。





「さて行くか。」





そう言って立ち上がると目の前に倒れるハミルをまるでゴミでもどかすかの様に足で蹴るとテントから顔を覗かせていた。



ヘルメスは遠くで話す赤髪の美女を見つけると「天王が気に入りそうだ」とうなずいていた。



「殺すのではなく連れて帰るか」と中腰姿勢になってアニャへと飛びかかろうとしていたその時だった。






「はあ・・・敵襲ー!!!!!!!!!!」

「貴様この人間が!!」





ヘルメスはハミルの顔を踏み潰して高速でどこかへ姿を消した。



最後にハミルが叫んだ事でベリー騎士団が武器を抜いて走ってきた。



顔がなくなっているハミルを見て落胆するベリー騎士団と敵襲に警戒する第6軍はヘルメスの存在をまだ知らない。



わかるのはハミルが何者かに殺された事だった。



オリュンポスの神々は攻撃を始めている。



気を抜くわけにはいかない。

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