第18話スキルアップ

 迷宮で死にかけたことによって、オレは新たな力を入手。

 冒険者マリアの呪いを解くために、中級迷宮の《呪いの迷宮》に挑戦しクリア。


 無事に彼女の呪いを解くことに成功し、思わずパーティーを組むことに。


 ◇


 そんな時、新たな天の声が出てきた。


 ☆《チャレンジ:パーティーメンバーのステータス画面を確認して、スキルアップに挑戦してみよう》


 えっ?

 彼女のパスキルアップも、オレが出来ちゃうの?


 まさかの指令に、思わず声を出してしまう。


「ん? ハリト君、どうしました? もしかして私とパーティーを組むのは、嫌になりましたか?」


「い、いや、そんなことはないよ! マリアと一緒に行動できるのは、嬉しいよ!」


 これは嘘やお世辞でもない。

 マリアとの一緒に攻略した迷宮は、本当にやりやすかった。

 きっと冒険者としての相性が良いのだ。


「本当、嬉しい! ということは、他に何かあったんですか?」


「えーと、同じパーティーになったから、マリアに関して新しいスキルが出てきたんだ。だから試したいんだ。でも、ここだと人通りも多いから、静かなところがいいかな」


 他人のステータス画面を見るのは、今回が初めて。

 何が起こるか分からない。

 だが静かなところが好ましい。


「それなら、また私の部屋に戻りましょう」


「なるほど。分かった。そうしよう」


 こうしてパーティーメンバーのスキルアップに挑戦するために、またマリアの部屋に向かうことにした。


 ◇


 マリアの常宿に到着。


「えーと、それじゃ、そこに座ってもらっていいかな? ちょっと試してみるから」


「はい、分かりました。お願いします」


 マリアをベッドに座ってもらう。

 オレは緊張しながら、彼女に意識を向ける。


(えーと、この記号をタッチすればいいのかな?)


 マリアに意識を向けると、見たことがない記号が、空中に浮かんでいる。

 きっとこれが彼女のステータス画面を、表示させるのだろう。


 恐る恐るタッチしてみる。


 ピコン♪


 いきなりステータス画面が出てきた。



 ――――《ステータス》――――


 □名前:マリア(♀16歳)

 □職業:神官

 □メインレベル7

 □スキル

 ・接近戦(杖)レベル1

 └強打アッタク


 ・回避レベル1

 └集中


 □神聖魔法レベル3

 ├回復系

 ├補助系

 └攻撃系


 □固有

 New!《聖女の欠片》


 ・ハリトのパーティーメンバー

 └スキルポイント:0→10

 ※《容姿能力減退の呪い》解呪の特殊ボーナス


 ――――◇――――


 おお!

 出てきたぞ!


 マリアのステータス画面を確認できた。


 基本的にはオレのステータス画面と、それほど大差はない。


 あっ、でも。

 スキルポイントの場所が違う。


 彼女の固有のところにある。

 つまりオレのパーティーを組んだことで、スキルポイントが使用可能になった感じかな?


 たぶんタッチすれば、マリアのスキルアップを出来るような気がする


「ハリト君、どうですか?」


「えーと、一応は見れたんだけ、マリアはこの文字は見える?」


「えっ、文字ですか? いえ、何も見えないけど……?」


 そうか、当人マリアにも見えないのか。

 ということは、やはりオレが操作するしかないのか。


「えーと、仮に、もしもスキルアップできるとしたら、マリアは何がいいかな? 神聖魔法と近接戦闘、回避があるみたいだけど?」


「えっ、スキルアップ⁉ それはもちろん神聖魔法です! 最近は伸び悩んでいたんで、もしも可能なら!」


「そっか……そうだったんだ。それなら、ちょっと試してみるね? 変な感じがしたら、言ってちょうだい。すぐに中止するから」


「は、はい……お願いします、ハリト君」


 よし、本人の了承は得られた。

 マリアのスキルアップを試してみる。


(よし。まずはマリアの《神聖魔法》の項目をタッチして……)


 彼女のステータス画面に、触れた時だった。


「うっ……」


 マリアが声を漏らす。


「大丈夫⁉ もしかして、痛いとか⁉ 止めようか⁉」


「い、いえ、大丈夫です。むしろ良い感じがします……お腹の辺りが、ギュッとする感じです。初めての感じなので、よく分かりませんが、大丈夫です」


「そっか、それなら続けてみるね」


 もう一度、マリアの《神聖魔法》の項目をタッチ。


「うっ……あっ……」


 またマリアは声を漏らす。

 頬をピンクにして、目を潤ませている。


 本人は大丈夫と言っていたけど、もしかして我慢しているのかもしれない。

 早めにスキルアップを終わらせよう。


《神聖魔法》の項目に優しく触り、スキルアップしてみる。


 ☆《ピローン♪ パーティーメンバー『マリア』の神聖魔法レベル3→4になりました》


 おお、成功した。


 一応ステータス画面を確認してみよう。



 ――――《ステータス》――――


 □名前:マリア(♀16歳)

 □職業:神官

 □メインレベル7

 □スキル

 ・接近戦(杖)レベル1

 └強打アッタク


 ・回避レベル1

 └集中


 up!神聖魔法レベル3→4

 ├回復系

 ├補助系

 └攻撃系


 □固有

 ・《聖女の欠片》


 □ハリトのパーティーメンバー加護

 └スキルポイント:10→6


 ――――◇――――


 おお、ちゃんとスキルアップできている。

 スキルポイントも適性に減っていた。


 つまり今までのオレと同じ感覚でいいのだ。

 複雑にならないので、コレは有り難い。


 よし、さっそくマリアに報告だ。

 ん?

 でも、マリアの様子がおかしい。


「うっ………………」


 ベッドの上でなんかプルプルしている。

 もしかしたら無理にスキルアップした後遺症かな⁉


「大丈夫、マリア⁉」


「いえ、大丈夫です。変な感じなって、でも不思議な気持ちが良い感じになってしまっただけです」


「おお、そうか。それなら、よかった。あっ、たぶん神聖魔法が上がったはずだよ!」


「えっ……もうですか⁉ たった、アレだけのことで⁉」


「たぶん、大丈夫なはず。もしも、良かったらオレの身体で、試してみていいよ」


 オレは作業用のナイフを取り出す。

 自分の指先を、軽く切ってみる。


 回復魔法のチェックのためだ。


「分かりました。それなら試してみます……【治癒】!」


 マリアは基本の回復魔法を発動。


 フォワーン。


 オレの傷は一瞬で感知する。


「す、凄い……本当に神聖魔法の力が向上しています⁉ 本当に凄い!」


 実感して、マリアは更に驚いていた。

 何しろ普通は自分の望むスキルを、上げること出来ない。


 冒険者は誰もが天運に任せて、祈っているのだ。

 自分が望むようにスキルアップして欲しいと。


 だが今回は何の苦労もなく、運要素もゼロ。

 完璧な希望で神聖魔法を向上できたのだ。


「ふう……体験して、改めて理解しました。ハリト君のスキルアップの力は、規格外で反則級です! 断言しますが、世界中の冒険者が欲しがる力ですよ、それは!」


「そうかだね。改めてオレも実感したよ」


 マリアが興奮するもの無理はない。


 オレが手にしたのは異質な力。

 使い方によっては、人を幸せにも不幸にもする能力なのだ。

 乱用せずに慎重に使っていかないと。


「よし、とりあえず、ひと段落したから、夕食でも食べに行こうか? マリアの快気祝いと、迷宮攻略を祝して、とか?」


「そうですね。ハリト君に驚かされてばかりで、私もお腹がペコペコです」


「あっはっは……面目ない。それじゃ、近くの酒場でもいい?」


「はい。この宿の向かいが、安くて美味しいです」


 マリアの案内で、夕食場所に移動することにした。


 ◇


 その日の夕食は楽しい時間だった。


 マリアと色んな話をしながら、食べて飲んで、また話をして。


 今までのお互いの苦労の話しや、迷宮での失敗談で大笑い。


 呪いのことも過去とも苦労も、全て笑えるくらいに、オレたちは前を向いていた。


 ◇


 そんな楽しい夕食会も終わり、解散となる。

 明日の待ち合わせの約束をして、オレは一人で常宿に歩いていく。


「今日は楽しかったな……」


 あっ、そういえば。

 冒険者ギルドで。中級迷宮の魔石の換金を忘れていた。

 今日はもう遅いから、明日以降でもいいか。


 あと、マリアのステータス画面に《聖女の欠片》という固有があった。

 その件についても聞くのを忘れていた。


 でも固有は存在自体が、今までは謎。

 もしかマリアも知らないのかな?


 ――――そんなこと考えならが、夜道を歩いていた時であった。


 ピロ~ン♪


 ☆《チャレンジ『中級迷宮の依頼を受けてみよう』を完了しました》

 ☆《チャレンジ『神官マリアとパーティーを組む》』を完了しました》

 ☆《チャレンジ『パーティーメンバーのスキルアップに挑戦』を完了しました》

 ☆《隠しチャレンジ『《聖女の欠片》の救済』を完了しました》

 ☆《特別経験値が付与されました》


 ☆《魔物討伐の経験値が付与されました》

 ☆《ハリトのメインレベルが5上昇しました》

 ☆《スキルポイントを25ゲットしました》


 ☆《『ハリトの恩恵』でメンバー『マリア』メインレベルが3上昇しました》

 ☆《『マリア』はスキルポイントを14ゲットしました》



 え?

 ええええ⁉


 なんか、すごく一気にレベルアップしたぞ⁉


 色んなチャレンジをクリアしたからかな?

 それに、知らない隠すチャレンジというもの、あるぞ。


 あとマリアも恩恵で上昇した?


 多すぎて、混乱してきた。


 ――――そして、更に追い打ちがくる。


 ☆《中級職にクラスアップできます。選択肢を見てみる?》

 □YES

 □NO


 んん?

 えええ?


『中級職』……これはいったい、なんだ⁉

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