血の無い骸の上を歩ける程、そんなに強くない。

朝陽うさぎ

第1話 混沌

 僕は…どうなったんだ…?


 思い出そうとする度に、記憶が曖昧になる。


 何で僕は…こんな恐ろしい惑星ほしに生まれたんだ…?



 肺が、痛い。

 息を吸うと、途端に激痛が走る。

 不思議な感覚だ。腹部はらに、やや小さな穴が開いているとは。



 そうだ、思い出した…。

 妖天ハルス…。



「っく…ハァ…ハァ…」

「如何したの?」


 壁に寄り掛かりながら、脚を動かしていると、黒髪の長い、薄手のコートを着た、20代辺りの女性と会った。


「助けて…下さい……、お願い…します………」

「まぁ! こんなに血だらけ。それに怪我してるじゃない…。家で手当てしましょう…。立てる? 」


 肩を組まれ、ゆっくりと歩いているうちに、彼女の自宅へ着いていた。


「取り敢えず、此処に寝て。救急箱持ってくるわ」



 安堵したのか、僕は、いつの間にか深い眠りに就いていた。

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