第953話 【番外編】アマビエさん、ツヤが戻る

「あ、でもこれ美味しい」


 太麺に味噌味のスープが実によく合う。こってりした味が欲しいときには、迷いなくこちらを選ぶだろう。チャーシューも相変わらず柔らかくて脂がとろけた。


「ゲフッ」


 アマビエさんは僕のラーメンを汁まで飲み干し、満足そうに息を吐いていた。脂のおかげか、顔につやが戻ってきている。


「百年豊作が続くであろう」

「良かったですね」


 アマビエさんはラーメン屋に祝福を振りまいていった。仮設店舗だから一週間後にはなくなるのだが、百貨店にはなにかしら余得があるだろう。


「えー、ラーメン食べに行ってたんですか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る