「イタリアかあ。本場のピザやパスタ、とっても美味しいんでしょうね」

　その一瞬、事務の子の目が漫画に出てくるようなハートになったように見えた。

「食事に夢中になって、お前だけイタリアに残ったりしてな」

　アマビコさんが当てこすったが、アマビエさんは全く動じなかった。

「その場合は泳いで帰ってくる」

　海はつながっているのだ、とアマビエさんは自信満々に言った。

「ははは、心配しなくてもちゃんと連れて帰ってくるから大丈夫だよ」

　社長はこの時はこう言っていたのだが……三週間後、僕たちはとんでもない事態に驚愕することになる。

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