第908話【番外編】アマビエさん、キリンに遭遇

 事務の子が真っ先に声をあげた。確かに、見覚えのある体の模様と長い首が見える。


 思っていたより遥かに大きな動物であったことに、まず驚いた。勝手に子供くらいの背丈と思っていたのに、実物は二階建てくらいの上背がある。サバンナでぬっとこれが出てきたら、僕は腰を抜かしてしまいそうだ。


 キリンは下で群がる人間には目もくれず、ゆっくり首を伸ばした。そしてその先にあった桜の枝に、おもむろに長い舌を伸ばす。


 そしてそのまま、むしゃむしゃと桜の花を食べ始めた。


「……あー」

「あーあ……」


 そりゃ動物だもんね。風情より食欲優先だよね。

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