第847話 アマビエさん、お手柄

「え?」

「聞きにきてたでしょ? 面接」


 僕は否定しようとしたが、今のリアクションですでにバレていると気づいた。


「はい……」

「そうだと思った。私が扉を開けておいたのよ。よく聞こえて良かったわね」


 顔に血が昇ってくるのを感じながら、僕はおずおずと言った。


「すみません」

「心配しなくても、薬局長には黙ってるわよ。なんか、気持ち分かるから」


 微笑まれて、僕は長く息を吐いた。


「うまくいくといいわね」

「はい」


 彼を採用するという発表があったのは、その翌日のことだった。



【薬局あるある】一人しか応募が無い場合、合否判定は割と早い。

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